【追悼】小澤征爾&ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会 第3夜 1986年10月30日 (サントリーホール オープニング・シリーズ)
今年の2月に逝去された小澤征爾さんの追悼の思いをこめて、思い出のCD、DVD紹介。
2月25日に公開した、私がただ1度聴いた小澤さん(とベルリン・フィル)の演奏会の翌日に行われたコンサートです。このコンサートをNHKが3月18日に小澤さんの追悼番組として再放送してくれました。
この演奏も商品化されていませんが、小澤さんの演奏を語る上で外せないコンサートですし、小澤さんが初めて、そしてただ一度、日本国内でベルリン・フィルを指揮した意義深いコンサートと思います。
今後も商品化はされないことと思いますが、NHKは何年かに一度でよいので再放送をしてくれないかなと思っています。例によって、Youtubeにフル映像がUpされているのですが、Youtubeのクラシック音源&映像は削除されることが多いので・・・・
曲目と演奏者
フランツ・シューベルト:交響曲第8番「未完成」
リヒャルト・シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」
ヴァイオリン:安永徹
指揮:小澤征爾
ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団
1986年10月30日 サントリーホール
サントリーホール オープニングシリーズ
以前にも書きましたが、このサントリーホールオープニングシリーズでは、本来は音楽監督ヘルベルト・フォン・カラヤンが指揮する予定でした。しかしカラヤンの病による来日中止で、急遽代役として小澤征爾が指揮することになったコンサートでした。
この日カラヤンが指揮する予定だった曲目は、モーツァルトの「ディヴェルティメント第17番」とブルックナーの「交響曲第9番」で、NHKによるFMラジオでの生中継とテレビによる録画中継が組まれていました。
カラヤンの来日中止により上記の曲目に変更され、ラジオとテレビでの放送は予定どおりに行われました。
小澤の、そしてカラヤンの「未完成」&「英雄の生涯」
シューベルトの「未完成」とリヒャルト・シュトラウスの「英雄の生涯」は、小澤征爾が若い頃から得意としている曲でした。そして、ベルリン・フィルの音楽監督であり、小澤の師匠でもあるヘルベルト・フォン・カラヤンが得意としている曲でもありました。加えて、「未完成」は10月29日(第2夜)に、「英雄の生涯」は10月28日(第1夜)に、それぞれカラヤンの指揮で演奏される予定だった曲でした。
「未完成」も「英雄の生涯」も、小澤らしい几帳面さとベルリン・フィルの豪壮な魅力が融合した演奏でしたが、カラヤンによる演奏の"こだま"もそこかしこに聴かれる演奏だったように思います。特に「英雄の生涯」は、この年の5月にカラヤンによる最新録音(そして結果的に最後の録音)が発売され、私はそのCDを愛聴していたので・・・・。
「未完成」の方が小澤の叙情的な面がよく表れた演奏だったように思います。