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地域の悲史 鳥取県

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鳥取県内の地域の悲しい歴史を物語る遺跡を紹介しています。
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2024年9月の記事一覧

粟島神社 静の岩屋-八百比丘尼の入定崫-

米子市の西の郊外に「粟島」という小さな丘があり、粟島神社という神社が建っています。ここに、人魚の肉を食べて不老不死になった八百比丘尼という女が入定したといわれる石窟があります。 粟島 粟島は米子市の中心部から5㎞ほど西に走った場所にある標高36mの小さな丘です。かつては中海に浮かぶ小島でしたが、江戸時代の干拓によって地続きになりました。 山頂には粟島神社があり、万病治癒の神とされる少彦名命(すくなひこなのみこと)が祀られています。 静の岩屋-八百比丘尼の入定崫- この

狼 狂い来たりて-半の上の辻堂跡 狂狼順礼殉難の地-

この記事は、狼による獣害事件を扱っているため文中に残酷な表現があります。読者の方を怖がらせようと思ったり、グロ趣味を広めようと企図したりする記事ではありませんが、怖いこと、残酷なこと、グロ趣味が苦手な方は読むことをお控えください。 また、タイトルに「順礼」とありますが、これはこの事件を記した当時の古文書に書かれている表記で、本文中ではより一般的と思われる「巡礼」と表記させていただきます。 江戸時代中頃に、現在の西伯郡江府町武庫という集落で、狼が西国巡礼の一行を襲って2人が犠

幽霊滝の伝説 【小泉八雲の描く怪奇の世界】

「耳なし芳一」や「雪女」を書いた小泉八雲(1850年6月27日~1904年9月26日)をご存知でしょうか。 その小泉八雲が採話し、1902年(明治35)に出版された『骨董』の巻頭を飾る『幽霊滝の伝説』の舞台が鳥取県日野郡日野町にある龍王滝(黒滝とも)です。 幽霊滝の伝説 伯耆国黒坂の近くに「幽霊滝」と呼ばれている滝がある。その幽霊滝にこんな怪談が伝わっている。 明治の初め頃。冬の寒い夜に、黒坂の麻取り場で女たちが怪談話に興じていた。怪談話がひとしきり終わり、薄気味悪さが