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パリこでかけ ディズニーランドパリ(観察編)

前回、ディズニーランドパリ(観光編)をお送りした“パリこでかけ”ですが、今回は更にもう少し踏み込んで東京ディズニーランド(以下TDL)と比較して私が気づいたことも含めた“観察編”です。

◆マジックキングダムはあくまで“子供の王国”

来園してすぐ気付くのが、圧倒的な子どもの数。比率の問題なので、ということはTDLと比べて何かが少ないということ。それはつまりカップル、そう、ディズニーランドパリは圧倒的に子ども(とその親)の為の王国であって、TDLのように大人だけでも楽しめる王国では無いということです。
写真は顔のペインティングサービス。実はこれ、TDLだけでなくパリの街中でも見掛けるパリの子どもが大好きなサービスのディズニー版なのですが、大人はほぼしないので子ども向けのサービスです。同様に、沢山のコスチュームが方々のショップで売られていますが、大人サイズは皆無で子どもサイズのみ(Tシャツやパーカーはありますが、コスチュームは子どもサイズだけ)。
これらの状況から察するに、定番デートスポットだったり、カップルが相性の関所としてデートで用いる場所であるところのTDLは、運営会社である株式会社オリエンタルランドのマーケティングの成せる技であるということです。“居て良い→居て当たり前→居てかっこいい”へと段階的に導くのはマーケティングの仕事だと思うのですが、TDLを大人(だけでも)居て良い場所へ、大人(だけでも)居て当たり前の場所へ、そして大人(だけでも)居てかっこいい場所へと導いたのは、正にTDLマーケティングの成せる技だと、パリを見ていて改めて感じました。

◆マジックキングダムは顧客を含む全てが作り出す正当化の“印象”

欧州でディズニーランドを創ることは大変は挑戦だったと思います。見渡せば300年クラスの城や教会がごろごろ存在し、見るべき場所が有りすぎるここ欧州で、誤解を恐れずに言えば、全てがイミテーションのマジックキングダムを創ることは、誰がどう見ても挑戦だったと思います。
実際、開園以来20年間の業績不振が続いており、厳しい経営状態になっていたそうで、TDLより10歳若い開園25周年の割に、TDLよりも綻びを感じる箇所もちらほら有ります。
その結果として、ディズニーランドではこう振舞うべきであるという正当性が弱まり、かつ同質化圧力が弱まった結果、以下のような残念現象が発生するわけです。
・至る所で買ってきたサンドイッチを貪る
・喫煙場所以外でもガンガン歩きタバコ
・列の途中で抜ける入る抜ける入る
というわけで、ディスニーランドパリはかなり自由(笑)TDLに比べるとマジック感が薄いかもしれません。マジックキングダムは1日にして成らず、顧客を含む全てが作り出す正当化の“印象”として、王国が存在するのだと改めて実感しました。

◆インバウンドの受け皿としてのディズニーランド

パリに来て2ヶ月、久しぶりにこれほどまでの外国語を聞いたと言うくらい、様々な国の人が訪れています。多いのは欧州の他国のファミリー、次に目立つのがアーリア系の人々、ついで中国系・韓国系、という印象です。欧州では唯一のディズニーランドなので近隣の各国からインバウンドが来園しているようでした。
観光編でも書いた通り、1日でほぼ回れてしまったので何度も訪れたいという感じでもない為、新規需要を取り込んでいる感じでした。

◆まとめ:こだわりの「なさ」故のヨーロッパ型ディズニーランド
ディズニーランドという“機能”としては、実はTDLとそれほど違いがありません。入り口にショッピングモールがあって、最初から最後まで消費者性向に訴えかけたり、そこを抜けるとまさにインスタ映えなお城があったり、その周りで夕方や夜にはパレードがあったり。ビッグサンダーマウンテン、スペースマウンテン、バズライトライヤー、イッツアスモールワールド・・・TDLで人気のパビリオンも揃っています。園内のレストランも、ホットドックやステーキなど、アメリカ文化を意識させるものが中心を占めています。

それぞれの“機能”はほとんど同じなのに、旦那様とは「なんだかディズニーランドじゃないみたいだね」と話していました。そこが何処から来るのか考えていたのですが、1日の最後に、なんとなく訪れてみたパビリオンでそれが解った気がします。

入口に「ミッキーのパビリオン」と書かれていたので入ってみると、そこではミッキーの短編アニメの上映が。ショーが奥の部屋であるのかな?と進んでいくと、そこで待っていたのは、かの大スターミッキーマウス!

かくして、すっかり大興奮でミッキーとのツーショット(そして旦那様交えてのスリーショット)を撮影することが出来たのでした。ここでようやく、パリのディズニーランドでも「ディズニーらしさ」を感じることが出来、大満足で家路についたのでした。

TDLにあって、パリのディズニーランドでは希薄に思えたのは、このディズニーらしさではないでしょうか?舞浜駅を降り立つと同時に、制服カップルがいそいそとランドかシーに向かう様子。幸せそうな家族連れ。そうしたお客さんに応対する、笑顔満点のキャストたち。映画やアニメなどのメディア、友だちの口コミを通じて、ディズニーランドというのは魔法の王国で、夢や希望が溢れる場所だということを、私たちは日常生活のなかで刷り込まれていきます。そして、そうした意識の集まる場所としてのディズニーランドやディズニーシー。それぞれのパビリオンやコンテンツだけでは表現できないディズニーとしての価値は、そうした歴史的な意識の共有から生まれていて、より長く、複雑な歴史を有するヨーロッパでは、そうした文脈の共有は、日本に比べて難しいのではないでしょうか?

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