悪夢で気づいた、私の中の”私”の痛み

久しぶりに、息が切れて目が覚める悪夢を見た。カウンセリングを受け始めては死にたい夜がほぼなくなって、家族の中で苦しい悪夢を見ても親に言い返せていたのに、今日は久しぶりに言い返せない夢だった。

これは、私の中にいる愛ちゃんの記憶…。目が覚めて、そう感じた。やっと、あの子が出てきてくれたんだろうな。

ひとりだけ、まだ深い穴に落ちている、インナーチャイルドのあの子。前回のカウンセリングで穴から這いあがれないのが分かったから、「太い紐を垂らして会いに行けばいいのでは?」と思った。来られないのなら、私から近寄ればいい。そう思ったら、会えた気がする。あの頃に置いてきた痛みを教えてくれた気がする。

夢の中で、ピンクのガラケーを必死に握りしめる私。「またメル友作ったの?」と呆れ顔の母が部屋にやってくる。

「もうしないって約束したよね?なんで、守れないの?」と言われる。母に私は必死に説明。わかってもらえないだろうなと思いながらも、メル友を募集して返信が来ると必要とされてると思えることや、自分でも、なんでやめられないか分からないけどやっちゃうことを説明する。涙をこらえながら、必死に。

本当はメル友で作った彼氏がいるし、遊びに行ったことがある人もいる。でもそれを言ったりバレたりすると、余計母に汚らわしいと思われるからと、夢の中の私は必死で隠す。

握りしめた携帯には彼氏専用フォルダーや男の人と遊びに行ったときの写真があるから、絶対に見られちゃだめだと思ってる。

でも、母は強引に私の携帯を奪う。メールを見ようとする。私は必死で奪い返す。

なんとか必死に奪い返して、「彼氏も遊びに行った人もいない。みんなメールしてるだけ」と訴える。母は納得したような言葉を言うけど、全く納得してない様子。

「分かったわ」と言いながら、一階に降りていって、父に私のメル友のことを話す。さも、雑談をするかのように明るく。さあ、怒ってあげて、懲らしめてあげてと言うかのように。

「私、もうあの子は無理。お姉ちゃんのほうが好きだわ」という母の声を悲しく思いながら、私は父にメル友のことがバレて怒られたくないから、母がメル友の話をする前に急いで一階へ降りていく。

両親はキッチンにいて、朝ご飯を食べようとしてる。頭にふと「複雑性PTSDと診断されたと言えば、母も父も私の行動に納得してくれるかな?」という考えが浮かぶ。

でも、「きっと無理だろうな」と浮かんだ考えを殺して、父の前でも頑張って言い訳。「メールしてるだけで会ってないから」と言う。でも、みんな納得していない。母は「ほら、怒られる」と勝ち誇った顔をする。

そこに姉とおじいちゃんがご飯を食べに来る。姉ちゃんなら少し、私の気持ちをわかってくれるかも。そう期待して、メル友のことを少し話す。姉は両親ほど軽蔑した目は向けなかったけど、驚いた顔で「へえ」と言って、自分の話をし始める。

母に「もういい」と言われた自分は生きてる価値がない。そう思い始めて、「私、変われないから死ぬね」と言う。

誰か止めてくれるかなと期待するけど、みんな無言で苦しい。姉が口を開いたから、また期待するけど、自分の話をし始めるだけ。私の声は、誰にも届かない。言葉も口も持っている意味がない。

死ぬって言っちゃったから死なないといけない。母は私が死ぬって決めて嬉しそうだ。でも、どうしよう、死にたくない。これが現実じゃなかったらいいのに…。そう悩んでる途中で、目が覚めた。

夢を見て、真っ先に感じたのは愛ちゃんのパートだなという感想。「汚らわしい」とか「男好き」とかの烙印を押された私のあの頃。

家庭で息ができなかった私は、メル友にすがらないと生きていけなかった。自分でも、もう意味が分からないくらいに。

でも、それを母は「汚らわしい」と思ってた。いろんな男の人と連絡をとったり会ったりする私のことを「ふしだらな女」だと思ってた。私はあの人からの言葉で、自分をそう評価するようになったんだ。

そして悪夢を通して、うちの構造が見えた気がした。たしかに父の機嫌は読めないことが多いけど、母は父の機嫌を操って私たちの行動をコントロールしてたんだ。

自分が許せると思ったことは「お父さんには内緒にしといたから」と言われる。その言葉は今でも言われていて、聞くたびにイラっとした。なぜ、こんなにもイラっとするのか。そう思っていたけど、私はあの恩着せがましくて身勝手で、他力本願で自分勝手なあの人のあの言葉が大嫌いだったんだ。

母が嫌い。愛ちゃんが見せてくれた悪夢を振り返ると、その感情がすごく湧いてくる。

思ってはダメなような気がしてた。親だから、母だから、二人三脚で病気を乗り越えてきたから。

でも、それとは別だろ。こんなにも私と私の中の子を傷つけた母は、酷い人だった。本人に自覚がなくても、本人が子育ては上手くいったと思っていても、私が深く深く傷ついて怯えていたのは事実だ。

あんな気持ちを抱えていたら、あんな扱いを周りからされたら、たしかに死ぬしか逃げ道はないと思うよな。怒りと悲しみと絶望。その感情しかない世界を、どうやって生きていけというんだろう。よく生きてこられた。きっと、いつも死にたかった。楽しく生きられるはずなんてなかったし、前なんて向ける余裕がなかった。いつも、その場を乗り切ることに必死で疲れてた。

そういう日があった。そういう私がいた。そういう私と生きてきた。

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