「感謝と祈り」第858話

先日、休日を楽しもうと、私はあるところに母と義母を連れて行った。

それが湖山池という日本一大きい池の、遊覧船での周遊だ。

一日5便運行され、その日は先着順で40分の周遊が楽しめるという。
(しかも、60歳以上は無料の特典付き)

そこで私はあるガイドさんとの出会いがあり、大いに感銘を受けたので、ここに記しておきたいと思う。

その方は80代で、男性のガイドさん。
柔らかい物腰と笑顔の優しい、まるで住職のようなご老人でした。

聞けば、今もイベントに引っ張りだこで、永年観光業で働き、全国を回りながらバスガイドの教育係も務めて来たのだという。

その方は、小学校の時に音楽の先生に呼ばれ、歌を歌わされた時に、「あなたの声は多分声がわりしないから、声を使った仕事に就くといいよ。」と言われたのだと言う。

確かにその方の声は、(年齢に似合わない)ハイトーンボイスで、とても優しい声だったのです。

しかし、自己紹介の中で、学生時代は、この女性のようなハイトーンボイスのせいで、随分周りから虐められたのだと言う。

それでも、元来人前で話す事が好きだったというその方は、いじめにも負けず、ガイドという職業を選び、今もずっと続けているのだと言う。

プロのガイドさんなので、地域の歴史や文化について、勉強されているのは勿論の事、お喋りの間の取り方や、子供が泣き出した時の対応など、長年の知識と経験が醸し出すゆったりとした話し方に、私は聞き惚れてしまいました。

そして、最後にこの方は、
「今まで色んなところから声がかかると、迷わずガイドを喜んで務めて来ました。
私が若いと言われる所以は、好きな事を続けて来られたからかもしれません」と。

それを聞いた時に、「頼まれごとを淡々とやっていくと、その人の人生の目的を知る事が出来る」という言葉を思い出しました。

まさに継続は力なりですね。
この方は、喋る事で、人を元気にしたりして、笑顔にする事を、天命と思われたのかもしれません。

そして、年齢を言い訳にしない、その堂々とした生き方に、憧れさえ覚えました。

遊覧船にも色んな方が乗ってこられると思います。

もしかしたら、これが最後の乗船になってしまう人もいる事でしょう。

そう考えたら、一期一会の出会いを大切にして、心をこめてガイドをされているんだろうなと思います。

どんな仕事であっても、出会った人とのご縁を大切にして、私も目の前の人を大事にする仕事をしていきたいなと思いました。

今日も最後までお読み頂き、ありがとうございました。