「ウルシングクッキー」で縄文の漆デザイナーになる
先日、八戸市にある是川縄文館で、またまた考古学をテーマにしたお菓子作りワークショップを実施しました。
是川縄文館って?
是川縄文館についての説明は、以下の通り。
「八戸市埋蔵文化財センター是川縄文館は、隣接する是川遺跡や風張1遺跡などを通して東北地方の優れた縄文文化を発信し、埋蔵文化財の積極的な公開活用と適切な保存管理を図る施設として建設されました。」(是川縄文館HPより)
主役は国宝「合掌土偶」だが…
こちらの是川縄文館でまず外せないのは、風張1遺跡から出土した国宝の「合掌土偶」ですが、今回テーマにするのはこちらの土偶ではありません。
今回つくったのは、「漆」をテーマにしたクッキーです。
是川縄文館には、是川中居遺跡等から出土した、美しい漆塗りの土器やカゴが出土しています。
こんなにたくさんの漆製品が発掘された縄文時代の遺跡は、他にないのではと思います。
詳しくは、ぜひ展示を見に行ってみてください。
https://www.korekawa-jomon.jp/
そしてそういうことで、是川縄文館に展示されたさまざまな漆製品の魅力をみんなで体感すべく、ワークショップの開催となったわけです。
「マイ・ウルシングクッキー」を作るということ
ワークショップの体験を考える時に、
「できるだけ本物に似せる」のか、
「自分なりにデザインを変換してみる」のか、
どちらにするかによって組み立てがだいぶ変わります。
どちらにするかは、実は当日あるいは前日に参加者の年齢層や属性を把握してから変えることもあるのですが、今回は小学校低学年制や未就学の子どもたちがとても多かったため、難易度を考えて後者にすることにしました。(細かい部分を似せるのは難しい)
ワークショップの時は、帰ってからも記憶に残してほしいことを、ワンポイントか、多くても3ポイントくらいで伝えます。
でも今回は、参加者の年齢層を考えて「文様」だけのワンポイント。
それだけはじっくり観察してみるという回にしました。
はじめはちょっと心配しましたが、ちいさい子もそれぞれ素敵なオリジナルクッキーが完成してよかったです。
ちなみに、ハートのクッキーは練習用ですが、これにもウルシングしている人がけっこういました。
デザインを現代に応用してみる
今回、最後に余裕ができた参加者の方には、観察した文様をつかって、ドレスや車のデザインを考えてみるというお題を出しました。
なかなかここまでたどり着ける参加者はいなかったのですが、何人かはチャレンジできました。
是川縄文館さんは、過去に縄文の文様をつかったファッションショーを企画されていたこともあって、わたしのワークショップでも採り入れさせていただいたという次第です。
必ずしも全部伝えなくていい?
博物館の講座では、「当時はこういう文化があって、縄文人の精神性はこうで、他地域と比べるとこうで…」とさまざまなコンテクストや研究成果を伝えることが多いと思います。
私自身も、たとえばドッキー(土器片クッキー)作りのワークショップではそういうことをたくさん話します。
でも、たまには「今」に活かすための観察や、そこからつながる創意工夫をテーマにしてもいいのかな、というのが今回のわたしの気付きでした。
あとは、ちいさいお子さんが多い場合は、どこまでの記憶や体験を持ち帰ってもらえるかはとても工夫がいるなと思いました。
でも年齢に関わらず詳しい子もいたり、大人の方も一緒に参加されたりするので、なかなかケースバイケースでもあるのですが…
あとで、もう少しだけ詳しく話してもよかったかな、など毎回ひとり反省会しています。
たぶん、今まで行なったワークショップの中で参加者の平均年齢は最年少でした。
ヤミラせんせいってハグされて嬉しかったです☺️
新しい考古系スイーツ「ウルシングクッキー」、どうぞよろしくお願いします〜!