大学院一年目の読書録 その9「コトラー 8つの成長戦略」
課題に追われて、バンド練習も、読書も、noteも、何もかもできていなかった今日この頃、皆さまお元気ですか?
大学院の図書館の本なので、返却しなくてはいけない、と言うことで、急ぎ、ちゃっちゃと備忘録、したためました。これ、実は読み始めてから、「どこかで読んだようなうっすらした記憶が…」
そうなんです。発行された時に、図書館で借りて実は読んでいたのに、内容どころか、タイトルまで、まったく記憶からとんでおりました。
(さっきの投稿でも同じことを書いてました)
その時に、どれだけ具体的に何かに活かす、またはアウトプットするという視点で読んでいなかったかがわかりますね。お恥ずかしい。単なる知識というか、教養のつもりで読んだ本。そこまで忘れていると、教養にも1%もつながっておりませんでした。
これに限らず昔から好きな小説家の小説ですら、同じ本を借りたり買ったりをどれだけ繰り返しているか。もう私のなんというか…老化?いや、よくよく思い出すと、子供時代の漫画も同じですので、元からですね。なんだ、老化じゃないよ、と安心するところではないけど。
改めて新しい発見をした(ものは言いよう)こちらの本。
「コトラー 8つの成長戦略」フィリップ・コトラー+ミルトン・コトラー著、嶋口充輝・竹村正明監修、碩学舎発行、中央経済社発売、2013年
ご存知コトラー先生の、こちらは弟氏との共著による著書。
「マーケティング3.0」に引き続きの、低成長からの脱却のヒントについて語られています。
内容を頭に定着させるために、まずは目次。目次さえあれば、まったく何も覚えていない、ということはなくなります(本人比)。そこのエッセンスだけ、備忘録で書き留めていきたいと思います。
こんなことをやらなくても、読んだ本は頭に入るぜ!という方もいますよね。うらやましいぜ。
序章 成長への8つの途をマスターするために
2008年以降のリーマンショック後の低成長経済下、企業は何をするべきか、そのヒントとして、2013年から2023年の10年間に影響を与える9つのメガトレンドを活かすべきと述べている。
さすがのコトラー先生も、昨年からのVOVID-19の影響による急激な経済減速などは読めなくても当たり前ですが、キーワードは例えば「DX」や「SDGs」への取り組みといった言い方は多少変われど、大きな潮流はこの通りと言えるのではないでしょうか。
その中で「利益を生み」「持続可能な」「成長を遂げる」ために企業が取るべき途として、以下、8つのポイントをそれぞれ示唆して行きます。
詳細は以下の章で説明していくのですが、コトラー先生の大事な次の言葉は引用しておきたいと思います。
第1章 マーケット・シェアを築いて成長する
ここで著者が一番言いたいのは、シェア1位企業の後塵をはいするな、ということ。シェアの後追いではなく、自社ならではの別の道を歩め、ということだと理解しています。さらに、ライバル企業に目を奪われ、顧客の変化に気付くのが遅れるべきではない、とも。
一方で、ここではマーケティングの基本セオリーが丁寧に説明されています。ライバル会社に先んじて市場シェア獲得のためのセオリーとは。一般的なマーケティングの教科書がここに凝縮。この一章だけでもコトラーのマーケティングの基本が学べます。
KW:一層の効率化→SWOT分析からシナリオ・プランニング→財務とマーケティングの弱みを解決し強みを高め→自社のマーケティング・ミックスとプロフィールを再調査→ターゲットを明確に、マーケットシェアを高める
第2章 コミッテッド・カスタマーやコミッテッド・ステークホルダーを増やして成長する
一度顧客を失ってしまうと、新しい顧客を創造するのは難しい。第2章では、顧客維持のためのポイントを中心に述べています。
満足した顧客から→ファン(コミッテッド・カスタマー)→アドボケーター(擁護者)→コ・クリエイター→カスタマーオーナーなど、自社の顧客のロイヤルティのレベルを高める重要性が具体的に語られています。
第3章 強力なブランドを築いて成長する
これはそのまま、「ブランド」としての価値、重要性を語っています。
一口に「ブランド」のコアである「ブランド・コンセプト」を、著者は価値に対する保証・顧客からの信頼の鍵である「ブランド・インテグリティ」、それを基盤に企業がデザインする「ブランド・アイデンティティ」、そして他者との差別化「ブランド・イメージ」。この3つに分類しています。
さらにこの章では、ブランドの拡張性やブランド・エクイティ(ブランドの無形の資産価値)の評価、ブランド構築に対するデジタル・インパクトについても触れています。
第4章 新製品、新サービス、そして経験を革新して成長する
イノベーションの産み方、アイデアを得る方法、どのようにイノベーション・プロセスをつくるのか
第5章 国際展開による成長
成長のための海外戦略(新興国などでの市場機会)、海外事業に求められる能力などが語られている
第6章 合併、買収、アライアンス、そしてジョイント・ベンチャーによる成長
マイケル・ポーターの多角化企業の調査などを紹介。
市場占有率や収益性拡大、余剰人員と経費削減、規模の経済など、さまざまな理由で行われる他企業の合併、買収、アライアンスであるが、その失敗例などから、ジョイントベンチャーなどの戦略的提携などの可能性についてが説明されている
第7章 社会的責任の卓越した評判で成長する
ここでは時代的に「Coporate Social Reponsibility:CSR」の文脈で語られているが、ここの価値が、単なる社会的責任だけではない、内容としては、まさしく経済的価値を見出すという「Creating Shared Value :CSV」の考え方を語っている。2021年の今なら、SDGsへの取り組みがこの章の言わんとしていることであろう。
第8章 政府およびNGOとの提携による成長
インフラ、防衛、教育、安全と健康、危機管理、経済政策分野での役割など政府と企業の役割について、最後に触れている。官民のパートナーシップのあり方なども成長の機会となることを述べている。
以上、コトラーの著書の中でも、弟、ミルトン・コトラー氏との共著ということで、一際、リアルなデータやコンサルティングの経験に基づき、実践的なマーケティング手法が語られている一冊。
学ぶだけではなく、そのまますぐに実践としてマーケターや経営者が手をつけるべきヒントが散りばめられた名著です。8年前の著書ではあるか、全く色褪せずに今この時期にも十分通じるマーケティング教科書であると言えるでしょう。
マーケティング部門ではない方も含め、ビジネスマンの必読書だと思います。
(これも、実は8月に3章まで書いていて、下書きにそのままになっておりました。記録として公開を最優先。最後、時間が取れずに尻すぼみ気味になってしまいましたが、備忘録ということで、ご容赦を〜!)