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これからの介護施設に求められるもの/加藤忠相さんの講演会を聞いて

先日、新規オープンした地域密着型特別養護老人ホーム主催の加藤忠相さんの講演会に行ってきました。

加藤さんは、NHK『プロフェッショナル仕事の流儀』に2回出演し、介護業界に旋風を巻き起こした株式会社あおいけあの代表取締役です。

私が今、介護業界で働いているのは、この番組を通じて加藤さんの介護観に感動したからです。

その本人を目の前にして講演が聞けたのは、とても貴重で嬉しい体験でした。

講演の内容で特に印象に残ったことは、以下の3つです。


1.新人を絶望させずに専門職を育てる


介護の世界に入ってくる人は、おじいちゃんおばあちゃんが好きな人か、人の役に立ちたいと思う優しい人が多いです。

失敗をしたら事故報告書やヒヤリハットを書けとプレッシャーをかけ続けると、萎縮して無難なことしかしなくなります。

それでは人が育ちません。

人が育つときは失敗をした時です。



目の前に岩が立ちはだかっている時に、よじ登るか、叩き潰すか、避けて通るか、を考えて自分で行動することが次の成長につかながるのです。

失敗を恐れずに挑戦出来る、のびのびと働ける環境が大事です。
それが働く人に余裕を与え、笑顔を引き出し、ひいては利用者様にも良い介護が提供できます。

リーダーは現場の人が考えて、意見が言いやすく、フラットで働きやすい環境をつくることが大事です。

2.認知症でも当たり前に暮らせる

加藤さんの施設におられるお年寄りは、

「本当に認知症ですか。」


と聞かれることが多いそうです。

職員の方たちと包丁を持って調理したり、洗濯物を干したり、乳児や幼児のお世話をしたり、畑仕事をしたりと、ごく自然に日常生活を送っておられるのです。

ですが、認知症を患っておられるのです。

年をとっても『昔取った杵柄』は、体が覚えています。

手続き記憶と言って、身体に染み付いた記憶は小脳と呼ばれる脳の部分に記憶が保たれており、忘れていないことが多いのです。

昔携わっていた仕事や家事をすることで、自分にも出来ることがある、人の役に立っていると感じてもらい、生きがいを作っているのです。

それらが認知症を感じさせずに当たり前に暮らしている要因なのです。

3.地域共生社会の実現

加藤さんの施設には、地域の人が自由に出入りできる仕掛けを作っています。

地域住民が施設内を近道として通り抜けが出来るようにしてあります。

公園でゲートボールをする元気な近所のご老人が荷物を置くのに利用しています。
小学生が帰り道に寄って、施設の利用者様とお話をします。
週末には書道教室が開かれています。
施設内に一般の方も来られるカフェがあります。

時には地域住民を巻き込んで餅つき大会などを行います。

介護施設は何か閉鎖された入りにくい場所というイメージを払拭し、

地域に溶け込んだ場所

となっているのです。

以上のことから、

これからの介護施設に求められるものは、


●働き手が縦の関係ではなく、横の関係で、楽しみながら働ける場所にする。

●お年寄りの能力を生かして、社会に貢献していると感じてもらう。

●地域の人たちにも身近に感じてもらえる魅力ある場所にする。

●地域の子どもたちとの接点を増やし、認知症になっても普通に暮らしていけるのだ、と安心して希望を持てる社会に貢献する。

ことが、今後深刻になっていく少子高齢化社会で生き抜いていくのに大事なのではないかと思いました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!



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