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第26回 梅雨と湿邪

2024年6月24日

健康と美容、栄養、ウェルエイジングを専門としている内科美容皮膚科医 中島由美です。

今年は梅雨入りが全国的に遅れていますね。
梅雨はジメジメ湿度が高く体調を崩す方も少なくありません。梅雨の時期をうまく乗り越えられるように、今回は梅雨の時期の過ごし方についてお話ししようと思います。

東洋医学では、天候や環境など体外から影響を与える外邪という概念があります。風邪、寒邪、暑邪、湿邪、燥邪、火邪(熱邪)と呼び、六つ合わせて「六淫」ともいいます。これらは自然現象であり、通常は体にとって有害ではありません。あまりにも暑さ寒さが強いと体がそれに対応できず病気になったり、環境の変化やストレスに抵抗する力(正気と言います)も弱いとこれらが外邪となって体に影響を及ぼします。
梅雨の時期の「湿邪」によって「水」が体内にとどまったり、偏在することでさまざまな症状を引き起こすことを「水滞(水毒)」といいます。もともと体質的に「水滞(水毒)」の傾向がある方は、湿邪によってさらにその傾向が強まり症状が悪化することが多いので、特に注意が必要です。
「身体が重い」「頭が痛む・重い」「めまい・立ちくらみがする」「車酔いしやすい」「悪心・嘔吐がある」などは、「水滞」のサインですので、これらが気になる人は注意してください。

「水滞」は身体のさまざまな部位に「水」が停滞・偏在することで、以下のようなさまざまな症状を引き起こします。
全身型:むくみ、下痢、めまい、夜間頻尿
胸内型:水様の鼻汁や痰、喘鳴
皮膚関節型:関節の痛み、手のこわばり、手足の冷え
心下型:食欲不振、嘔気、下痢(胃腸が特に湿邪の影響を受けやすいです)

湿邪・水滞に対する養生法
冷えが強いことが多いので保温に努めましょう。
・冷房で身体を冷やさないこと、冷たい飲食物を控える。(氷抜きにするなど)
・夏野菜(瓜・茄子・トマトなど)は、生ではなく茹でる・炒めるなどして加熱調理する。
・甘いものやフルーツも身体を冷やすので摂りすぎに注意。
・暴飲暴食を避ける。(胃腸を守ります!)
・お酒を控えめに。
・湿気が強い時は除湿をうまく使う。
・適度な発汗を促す。
・水分をこまめに補給し、散歩や運動、ストレッチを行う(気・血のめぐりをよくする)
・ゆっくりお風呂に入る。
・睡眠をよくとる。

漢方薬の中には「水滞」を改善する利水作用のある生薬もあり、利尿や発汗を促したり、温めて代謝機能を改善したり、胃にたまった水をさばいたりして、体内に停滞している水を取り除くことができます。

日本の夏は高温多湿ですので、梅雨の後もしばらくこの「湿邪」は続きます。
水滞対策をして、湿邪に負けない身体を作っていきましょう。

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