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【映画レビュー】アフター・ダーク

昔の映画って、不親切でわかりにくいけど独特の世界観があって妙に惹かれるものがあるよなぁと思えるような、ノスタルジーを感じる作品だった。

元ボクサーのパンチドランカーの主人公が、酒場で出会った女に拾われ転落していく物語。というあらすじが正しいかどうかわからないが、まぁとにかくどんどん悪い方向へ向かう退廃的な話だ。ただ既にドン底の人生だった主人公が女と出会う事で救われた部分もあっただろうし、女と出会ってしまったばかりに悪い事に巻き込まれてしまったという感じもするし、そういう意味では複雑だ。

この映画、とにかく不親切なのでどこに向かっていて何が起こっていて登場人物が何を考えているのか大変わかりにくい。わかりにくいのだけど、それがめちゃくちゃ良い味になっていて、昔の映画らしい作品だなぁと思わせる。それに、見ているうちにこういう事だったのかな?という自分なりの答えをちゃんと見つけられるので、それが映画鑑賞の醍醐味という感じもする。しかも全ての辻褄が合っている訳ではなく、衝動的で理由付けされていない行動も含まれているだろうところも人間らしいというか、既製品っぽくない感じが最近の映画との雰囲気の違いを感じる。

ずっと目がイッてるパンチドランカーの主人公もカッコ良いのかカッコ良くないのか決めきれないし、ヒロインの女性の声の低さにも驚いたり、キャラクターもちょっと変わっていて楽しめる。

ポスターや説明がエロスを思わせるが、エロスはあまりないので期待しない方がいい。しかしこの最近の映画にはあまりない独特の雰囲気を楽しめる人には、面白い映画になると思う。

『アフター・ダーク』 3.0

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