遊 - Yumin Flaneur

遊民。遊びの記録。

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最近の記事

エッセイ#171 - こたつ

やっと我が家もこたつを出した。出したと言うか、完全体になった。 我が家のこたつはもう、ずっと前からテーブルの天板についたヒーターで温めるタイプではなく、ホットカーペットの熱をこたつ布団で閉じ込めるタイプだ。少し前からホットカーペットは敷いていたけど、やっとこたつ布団も掛けて、こたつらしいフォルムのこたつになった。 母はこだわりが強く、前年の冬を越してちゃんときれいにして押し入れに仕舞ったこたつ布団を、どうしても一度は天日干ししてからじゃないと使いたくないのだ。もちろん私だっ

    • 【映画レビュー】NOPE ノープ

      めちゃくちゃ面白い映画だ。同じ監督作の『ゲット・アウト』はやたら評価が高いけどハマらなかったんだよなぁ……と思っているのだけど、この映画はめちゃくちゃ面白い。地球外生命体と戦う系の話の映画で、私が見た中では一番だと太鼓判を押せる。 UFOモノ、みたいなジャンルってあるんだろうか?めちゃくちゃ単純に言うと、この映画はUFOと戦う話だ。小さな牧場で、限られた人たちが戦う話で、地球規模で政府を挙げて派手にドンパチする系の戦いではない。 まずこのUFOの発見というか、正体の表し方

      • エッセイ#170 - 通りすがりに聞こえる会話

        街を歩いている時に聞こえる他人の会話って、本当に些細なものでも妙に面白く感じてしまう。全然知らない人なのに、ちょっと人となりが垣間見えるせいだろうか。 「ママ〜、これ買って」「いや、そんなのいらないでしょ!」みたいな、小さな子どもとその母親が繰り広げるありふれた会話ですら面白い。何を買って欲しがっているのか、つい気になってしまう。それがお菓子とかおもちゃとか、いかにも子どもが欲しがりそうな物でもほっこりするし、だしパックとかお風呂用スリッパとか、その用途を聞いてみたくなるよ

        • 【映画レビュー】リーグ・オブ・レジェンド/時空を超えた戦い

          徹頭徹尾ひどい映画だった。こういうめちゃくちゃカネが掛かった超大作がここまで意味がわらないクソ映画になる事があるんだ……と思った。 まず前提として、この映画は古典的名作の有名キャラクターを集めてその超人パワーで敵を倒すというアベンジャーズみたいな話なのだ。その心構えがあるだけで、理解度がかなり上がるだろう。その上でさらに、それぞれの有名キャラクターについて知識があれば楽しめるのかもしれない。しかし自分の大好きなキャラがこんな出来の悪い映画で変な解釈で登場しているというストレ

          エッセイ#169 - トイレ本

          トイレに1冊、本を置いた。トイレにいる間に読むための本だ。小説ではなく、実用書の類にした。 自分がトイレで無駄に時間を過ごしているなぁとは、以前から感じていた。別に用を足す時間を切り詰めて何か別の事をしたいとか、そういうタイパの極みみたいな話ではない。トイレに行くとスマホでSNSを見たりゲームをしたりして、用を足し終わってもダラダラと続けてしまう事が多いという実に意識の低い話だ。良くない習慣だなと思っていたけど、やっと改善案を実行してみた。行動力があまりないタイプなのだ。

          エッセイ#169 - トイレ本

          【映画レビュー】余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。

          スイーツ映画なのかそうじゃないのか、絶妙で悩ましいNetflixオリジナル映画。スイーツ映画評論家を自称する私にとって、大変興味深い作品である。 タイトル通り、余命宣告をされた高校生の男女の物語だ。そんなタイトルを付けるくらいだから恋の話なのかと思ったら、何というかそうとも言い切れないというか、とにかく恋愛を前面に押し出した作品ではない。 この恋愛要素が抑えめな感じが、スイーツ映画らしくない点なのだろう。恋愛か友情か曖昧なもどかしさが作品の面白さに繋がっていると感じる部分も

          【映画レビュー】余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。

          エッセイ#168 - 庭の草刈り

          草が生い茂っていた庭を、最近シルバーの草刈りのおじさんが来てきれいにしてくれた。ものの数時間でこれだけスッキリするんだから、プロってすごいなぁと思う。母曰く、もう何度もお世話になっているおじさんだそうだ。今回は3人でやって来て、そのベテランのおじさんをリーダーに作業をしてくれたらしい。 作業に来る前に、草を捨てるためのゴミ袋を用意しておくように言われて、母は10枚入りの大きなゴミ袋を3つも買ってきた。母は何かにつけて心配性なのだ。当日、そのゴミ袋とペットボトルのドリンク類を

          エッセイ#168 - 庭の草刈り

          【映画レビュー】シンデレラマン

          たぶん実話を基にした映画なんだろう。事実に縛られた良さと悪さの両方を感じられる映画だなと思った。 ボクシング映画だ。かつて世界チャンピオンに手が届きそうだったほどのボクサーが、ライセンスも失い金もなく、世界恐慌の中で貧困にあえぎながら必死に家族を養い、またボクサーとして駆け上がる物語だ。タイトル通りのシンデレラストーリーだが、ボクシング映画としては『ロッキー』シリーズの方が個人的には好みだなと思った。まぁ、ロッキーは名作すぎる。実話から外れられない本作より、ロッキーがドラマ

          【映画レビュー】シンデレラマン

          エッセイ#167 - 恐い思い2

          車に乗っていて怖い思いをした話を書いたが、似たような、それでいて全く違う経験をもっと幼い頃にもしている。 確か小学生の頃だった。家族旅行の途中だったと思うが、車で広島のどこかを走っていた。当時はまだ離婚前で父もいて、両親と私と妹の4人が車内にいた。その時運転していたのは父だった。 とても寒い時期だった。道路の端に、少し雪が残っているような。そんな中、父が運転を誤って、車道と歩道を隔てる縁石に車をひっかけてしまった。幼い私には詳しい事故状況はわからないが、とにかく前にも後ろに

          エッセイ#167 - 恐い思い2

          【映画レビュー】キラー・インサイド・ミー

          なかなか物語として成立しにくいサイコパスを、わりと意味がわからないものとして楽しめる範囲に描こうとしている意欲作かもしれない。全然好きな作品ではないけど、出来の悪い映画ではないと思う。 誠実で評判の良い保安官の、裏の顔を描いた物語である。彼の悪意に満ちた裏の顔は、サイコパス的で理解し難い。 彼は人の道を踏み外しながら、それを隠して表の顔を維持しようという気配があまりない。そういうロジックが通用しない、何をしたいのか全くわからない部分があるのが気持ち悪い。この気持ち悪さを楽し

          【映画レビュー】キラー・インサイド・ミー

          エッセイ#166 - 怖い思い

          映画を見ていて、家族で車を走らせていたらガラの悪い男たちのグループに絡まれるシーンがあって、そういえば自分たちも似たような経験をしたなと思い出した。もちろん、映画ほどヤバい事にはならなかったのだけど。 かなり夜遅くの、他の車が全く走っていない海沿いの一本道だった。酔っ払っているのかラリっているのか、うるさくてガラの悪い若い男たちのグループの乗った車が、私たち家族の乗った車と並走してきた。爆音で音楽を流し、ゲラゲラ笑いながら対向車線を走って並走し、窓を開けてサイドミラーをベコ

          エッセイ#166 - 怖い思い

          【映画レビュー】ノクターナル・アニマルズ

          冒頭のテロップであっこれトム・フォード作品なんだ!と気づいたので、最初から良い映画なのだろうというバイアスが掛かった状態で見てしまった(なんせ『シングルマン』はとても素晴らしい作品だったので)。だからこれはフラットな評価ではないのかもしれないけど、めちゃくちゃ面白い映画だった。トム・フォードまじ天才。 割とエグみのある映画だ。冒頭のインパクトあるシーンに嫌悪を覚える人は、その時点で引き返した方がいいと思う。 裕福な成功者である画商の女性の元に、20年前に別れた夫から小説が届

          【映画レビュー】ノクターナル・アニマルズ

          エッセイ#165 - 花粉症

          もしかしたら、自分が花粉症になったのではないかという恐怖に怯えている。 少し前に熱を出してから、治ったかなと思った頃にぶり返した感覚があった。そこから数日、あまり調子がよくない日々が続いている。ふと、もしかしてこれって花粉所なんじゃないだろうかと思ってしまった。 ただ、ざっくり調べてみたけど、この時期に飛んでいる目ぼしい花粉がない。スギとかブタクサとか、有名どころは違うっぽい。花粉以外の別のアレルギーなのだろうか? スギ花粉の時期には、人々は花粉症の事ばかり話しているなぁ

          エッセイ#165 - 花粉症

          【レビュー】レッド・ライト

          なんかこう、最後まで価値観が一致しなくて置いてかれたまま入り込めなかったなぁという作品。なのですごく退屈に感じてしまった。 超能力者と科学者の戦いを描いている。科学者の代表は、物理学者の年配女性。助手の男と超常現象について相談をうけてはそこへ出向き、事件を解決している様子だ。超能力者の代表は、ロバート・デ・ニーロ演じる盲目の男。かつて彼をインチキと批判する人間がショーの途中に死に追いやられた事から引退していたものの、電撃復活しまたショーを始めた。そんな超能力者の力が本物か偽

          【レビュー】レッド・ライト

          エッセイ#164 - てんびん座

          てんびん座というのはダサいなぁと、子どもの頃から思っている。私の星座である。動物の名前の星座とかの方が、明らかにカッコいい。なんで動物とか人間とかと同じ並びに道具が入っているんだと、ずっと不思議に思っている。 もちろん天秤は人類の進化に貢献した重要な道具なのだろう、たぶん。でもてんびん座はダサい。みずがめ座も同じくらい不憫だと思う。どう考えても、瓶より羊とかサソリの方がカッコいい。 それに比べて干支は、動物とそれに類するものだけで構成されていて星座に比べてだいぶフェアだ。そ

          エッセイ#164 - てんびん座

          【映画レビュー】アニー・イン・ザ・ターミナル

          少し何かが違えば、良い映画になっていただろうにという惜しい映画。残念ながら雰囲気だけはいい退屈な作品だ。 あらすじを言ってしまうと、ネタバレになってしまいそうだ。というのも、かなり終盤まで何が目的なのかわからないままストーリーが進むのだ。だからこういう映画だと説明すると、それが映画の終盤のネタバレになってしまう。一応、場末のアウトローな雰囲気の中で美人が何かをする話とでも言おうか。 とにかくめちゃくちゃわかりにくい。だから退屈に感じてしまう。 わかりにくさの原因は色々ある

          【映画レビュー】アニー・イン・ザ・ターミナル