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【映画レビュー】シェフ 三ツ星フードトラック始めました

キューバサンドの映画として有名で、知ってはいたけど初めて見た。キューバサンドだけじゃない、美味しそうな料理に家族愛、ロードムービー的な楽しさやサクセスストーリー的なワクワク感など、魅力にあふれた映画だ。

腕利きシェフがネットの炎上から職を失い、そこから周りの助けを借りて再起をはかるストーリー。主人公は料理の腕は一流だが、あまり立派な人間ではない。仕事に没頭するあまり離婚した妻との間にできた息子との時間をあまり取れないし、シェフを務める店のオーナーとも店の方向性を巡って対立し、店に来た有名な料理批評ブロガーとネット上でケンカを始めてしまい、ついには直接本人を罵倒してその動画が炎上してしまい職を失う。ただ、決して立派な人間ではないけど、クズではない事はちゃんと伝わる。だから見ていてイライラしないし、応援したくなる。この主人公の、決して人間が出来ている訳ではないが、悪い奴じゃない事もわかるし、不幸にあっても悲観的な気持ちにならず、何となくゲラゲラ笑いながらワクワク見ていられるキャラクターが絶妙で良い。

彼の10歳の息子との関係も良い。普段は元妻と一緒に暮らしているが、この元妻がちゃんと主人公の事を悪く言わずに息子と接しているのだろう。息子はパパの事も、パパの仕事の事もちゃんと尊敬しているようだ。でも10歳らしく、もっとパパと一緒にいたいとねだったりもする。一流シェフのパパが作っためちゃくちゃ美味しそうなチーズサンドに、パンの耳はいらないなんて贅沢を言ったりするところは笑ってしまう。
主人公が息子に、自分が情熱を注ぐ料理という仕事を見せる事で、シェフとしての自分を取り戻していく。と同時に、息子もパパの仕事に間近で触れて、そしてママから離れてあまり立派ではない大人たちに触れて、ひと夏の旅の中で成長していく。キレイな親子愛ではないけど、明るくて楽しくて前向きで見ていて本当に気持ち良い。料理を扱う作品なのに、親子愛を描いているのに、下ネタがちょうど笑える程度に上手く散りばめられていて、上品すぎない感じも好きだ。

スカーレット・ヨハンソン、ダスティン・ホフマン、ロバート・ダウニー・Jr.など、出番は少ないながらも有名どころがちらほら出てくるのも面白い。特にロバート・ダウニー・Jr.なんか、どういう関係なんだ?とよくわからない感じで出てくるのだけど、実際に主人公ととてもややこしい関係で、それがうまく現れていて、しかもちゃんと理解できる作りが上手いなぁと思う。

でもやっぱり、一番の魅力はすべての料理がめちゃくちゃ美味しそうな事だろう。このおいしそうな料理たちが作品に華を添えている。

『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』 3.5

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