【映画レビュー】ブロウ
ハリウッド映画のドラッグ密売を扱う映画の多さには、文化の違いを感じてしまう。劇中で「当時は本当に全員やっていた」というようなセリフがあるけど、それだけ身近にあるものなのだろう。
実在する麻薬密売人ジョージ・ユングの半生を描いた、事実を基にした作品。
正直、この手のドラッグの密売を扱う映画の中では平均的な、何か飛び抜けて面白い訳ではないけど出来が悪い訳でもないような作品である。きっと当時の密売人の中でも超大物のネームバリューが売りなのだろうが、ドラッグとは無縁の日本人にとっては全く知らない人だし。
ただ、極端に悲観的過ぎず、グロい描写もないし、わかりやすい人間ドラマが描かれているので、初めてドラッグ密売モノ映画を見るならコレをすすめるというくらい、入門編としてはかなり適していると思う。主役がジョニー・デップだし。
この主役のジョニー・デップが、改めていい役者だなぁと噛み締められる作品でもある。ジョージ・ユングの若かりし頃からおじいちゃんまでを変幻自在に演じているのは、さすがジョニー・デップというところだ。特に、ジョージの一番人生が上手くいっている頃の、全てを手に入れた全能感にあふれた時代のイケメンっぷりは本当に素晴らしい。『ギルバート・グレイプ』の時くらいカッコ良い。
ちなみに、ペネロペ・クルスは二番手キャストとは思えないくらい出番は少ない。ジョニー・デップの次に出番が多いのは父親役のレイ・リオッタってくらい、この映画はジョニー・デップの映画である。
派手な人生をハリウッドらしい映像で描いた、わりと見やすい映画だと思う。
『ブロウ』 2.5