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【映画レビュー】ブラック・ダリア

どこに向かっているのか、何が起こっているのかよくわからない、実話を基にした映画の悪いところが詰まった作品という感じ。複雑でどんでん返しが多くて、やってる事はすごく面白そうなのにずーっとよくわからなくて退屈で入っていけない映画だった。

実際の未解決事件「ブラック・ダリア事件」を基にして書かれた小説を原作とした映画。という、実話を基にしながらもかなりアレンジを加えたであろう、事実よりエンタメ性を重視して作ったと思われる作品だ。それなのに、事実を基にした映画によくある失敗っぽいものすごく感じてしまった。事実に縛られて自由に作品を作れないもどかしさや、描かれる事件や人物について事前知識がある前提で作られたような説明不足な感じなど。でも、ある程度自由に作ってコレなら、ただの失敗作と言わざるを得ない。

おそらく、この映画は「ブラック・ダリア事件」に、その事件を追う刑事のバディの物語というフィクションを付け加えたストーリーなのだと思う。ただ、その付け加えた2人の刑事の物語のボリュームが大きくなりすぎて、「ブラック・ダリア事件」が添え物になってしまっている感じがした。実際、この作品の中で死体が見つかり「ブラック・ダリア事件」が始まったのは映画が始まって20分も経ってからの事だった。しかも、死体が見つかってからもこの事件がメインで解決すべき大きなものだという扱いでもない。色々な事が起こっている中の一つという程度だ。それが、どこに向かっているのかわからない、ぼやけた映画という印象を与える。

それに、「ブラック・ダリア事件」と並行して描かれる事件も大変わかりにくい。今やっている捜査が何のためのものなのかとか、何が大きな問題なのかとか、どうして今そんなに感情が動いているのかとか、目の前の映像はそれなりに面白そうなのにその目的がよくわからない。情報の整理とか、その情報の出し方みたいなのが下手で分かりづらい。

ちゃんとこの映画が言いたい事が適切に伝わるようなストーリーに仕上がっていたらかなり面白かっただろうなぁという感じがするだけに残念だ。複雑なミステリーに、雰囲気のある俳優たち、1947年頃の時代を感じる映像づくり。脚本さえ素晴らしければ……と思わせる。

『ブラック・ダリア』 2.0

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