【映画レビュー】ロスト・フライト
航空事故ものとアクションものの、おいしいとこ取りみたいな欲張り映画でけっこう面白かった。
航空事故を扱う映画全般に思う事なのだけど、機長を始めとするクルーが命の危機の中で全力で職務を全うしようとする姿には本当に感心する。それは医者が瀕死の患者を前に取り乱さずに手術するくらい当たり前の事なのかもしれないけど、やはり自分の命も掛かっている場面でそれができるのはすごい。日頃からもしもの時に備えているからなのだろうけど、大変な仕事だなぁと思う。
本作ではそんな事故に遭いながらも全力を尽くして飛行機を不時着させ、命の危機を脱したと思ったらその不時着した場所が超危険な無法地帯という運の悪さ。そこからサバイブするアクション映画となる。機長が乗客乗員の命を守るために奔走するのだけど、いくら機長とは言えそこまでする事ないじゃないかと思える献身ぶり。しかしその機長を演じるのがジェラルド・バトラーなのだから、その活躍ぶりにも納得してしまう。
そしてその機長の相棒のような役目を果たすのは、護送のために飛行機に乗り合わせた犯罪者だ。凶悪犯ゆえに和を乱す存在ではあるものの、凶悪犯ゆえに超危険地帯では役に立つ。この不穏な犯罪者、決して善人として描かれている訳ではないが、なかなか有能な男だ。最終的には、おい死ぬなよ!オマエだけは死ぬなよ!!という気持ちで見守ってしまったほどだった。彼に用意された結末を嫌がる人は一定数いるだろうが、私はこのエンディングけっこう良かったのではないかと思った。
機長や凶悪犯だけでなく、自分の持ち場で精一杯自分の仕事を遂行する人がいて、そういう気持ちよさもあった。もちろん無能や保身やわがままなども描かれているのだけど、それと同じくらい有能も描かれていて、上手くいったり上手くいかなかったりバランスが良い。アクションシーンの裏切り方の上手さとか、感情の動きのわかりやすさとか、気持ちよく見られる映画という感じだった。もちろんド派手な爽快アクションもある。
画面酔いしやすいタイプの人は、揺れの多さに酔ってしまうかもしれないので、そこだけ気をつけて。
『ロスト・フライト』 3.0
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