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【映画レビュー】アクト・オブ・バイオレンス

特にヘタな事はしていなさそうなのに、あんまり面白くなかったなという映画。期待を持って見ていたのに、とかでもなく割と早い段階からぼんやり面白くなくて最後まで覆らなかった感じ。何が原因なのか、イマイチわからない。

麻薬密売組織にさらわれた婚約者を兄弟が取り戻しに行く物語。ポスターはブルース・ウィリスが主役で犯罪組織に立ち向かうように見えるけど、重要な役どころではあるものの脇役である。

まず、事件が起こるまでが長い。序盤はしばらく全く繋がりのない2つの世界が描かれ、それがぶつかって事が起こるという手法が取られる。そういう描き方はままあるが、なんだかイマイチ面白くない。2つの世界と言ったが、それは情報が整理された後で「とある家族」と「麻薬密売組織」の2つを描いていたと理解できたからであって、「とある家族」の方に含まれる登場人物やその関係性がよくわかっていない中で色んな人が出てきて、最初はかなり細切れの情報が散らかる。時間が経てば一応、事件が起こる前に情報を出しておくという目的は果たされているけど、そういうわかりにくさも感じるしなんだか退屈だ。
こう、何かが起こりそうな期待感みたいなものがない。そういう期待感なしにある日突然に事件に巻き込まれる理不尽さを描くやり方もあるけど、そういう狙いではないと思う。だって、もしそうならその後の急展開についていけない。

婚約者が犯罪組織にさらわれると、兄弟たちは自分たちで奪還するために立ち上がる。この辺りもあまり納得感がない。警察には任せておけないと見切る程に警察の無能さは描かれていないし、危険を顧みず家族の事を自分たちで守るんだという強い絆が描かれている訳でもない。捕まるリスクを犯してまで自分たちの手で解決するしかないという所まで追い込まれている感じがしないのに、勝手に立ち上がって危険に飛び込んでいくのが理解できない。

そして、こういうアクションものには最終的に勧善懲悪の爽快感を求めるが、巻き込まれてほしくない人が巻き込まれたりして胸糞悪い展開もあって全然爽快感がない。そういう爽快感がないタイプの、どんよりした映画を作ろうと思っているならともかく、なにか一石を投じるような目的も果たしきれていないのでただイヤ〜な気分になった。
最後に家族が笑っているのも、あんな事があったのによく笑えるなと思ってしまった。

『アクト・オブ・バイオレンス』 2.0

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