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【映画レビュー】HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ

個人的には、久々にこんな良い恋愛映画に出会ったと思えるほど気に入った作品だけど、思いのほか評価がぱっとしなくて驚いた。なんでだよ……みんな何がそんなに気に入らないんだよ……こんなに面白い映画なのに。

実話を基にした(どこまでが事実なのかは不明だが)、とある田舎の避暑地がハリケーンに襲われた夏に、そこで出会った若者たちの物語。最後にハリケーンが来る、という事前情報はあった方がいいと思う。じゃないと唐突すぎて、必然性を感じられないかもしれないから。
夏休みに避暑地に滞在して、そこに住む地元の人と恋に落ちるって欧米であるあるなのだろうか?と、『君の名前で僕を呼んで』を思い浮かべたりしていた。

主役の少年、なんか見たことあるなぁ誰だっけ?とずっと考えていたけど中盤でティモシー・シャラメと気付いた。『DUNE/デューン 砂の惑星』の何年前だろう、少年の成長ってすごいと思って調べてみたら驚いた。『君の名前で僕を呼んで』の主役の少年も、ティモシー・シャラメだった。DUNEを見た時にこんな美しい少年と青年の間みたいな子がいるんだな、初めて見た……と思っていたらその子の過去作を既に見ていたらしい。『君の名前で僕を呼んで』と本作は同じ2017年公開作品で、ティモシー・シャラメは同じような時期に全く違う2つの避暑地ものに出演していた事になる。そして『君の名前で僕を呼んで』は名だたる賞にノミネートされ大変評価されたのに反して、本作の評価はイマイチだ。『君の名前で僕を呼んで』も良い作品だと思ったけど、個人的にはこっちの方が好きだ。

本作の緊張と緩和とか、テンポ良くサクサク進む所とゆっくり間を取る所のスピードの緩急とか、そういうドキドキ感がめちゃくちゃ好きだ。相手の感情が読めなくてドキドキしている間とか、裏切れない2人の間で引っ張られているドキドキ感とか、よくわからない状態を楽しむような構造が上手い。今、この人はどういう感情なんだろう?とか、この人たちはどういう関係なんだろう?とか、わからない事は多いけどそこにちゃんとスポットが当たるような構造だと感じだ。みんながそういう楽しみ方ができないから、評価が低かったのだろうか?
そういうわからない事がわかるを何度も繰り返していくうちに、キャラクターの性格とか内に秘めたものとか、それぞれの関係性や因縁とか、色んな事がわかってきて、チャラくて軽い部分もあるけど意外とちゃんと人間を深く描いている。最終的には登場人物の葛藤を理解してものすごく感情移入していた。
セリフとか行動とかもオシャレで、恋愛映画としてもめちゃくちゃオシャレで質が高くて気に入った。1991年のちょっと昔の田舎のアメリカらしい風景や人々を描いている映像の作りも素敵だし、有名な映画をオマージュ的に引用している遊び心も感じる。

暑い夏の季節に気軽な気持ちで見たら意外と深かったみたいな良作だし、意外と深いに共感できないとしてもただの恋愛映画としてもオシャレで楽しめるし、何ならティモシー・シャラメとかハンター役のアレックス・ローを楽しむだけの映画としてもアリだと思うのだけどなんで評価が低いんだ!納得いかない!

『HOT SUMMER NIGHTS ホット・サマー・ナイツ』 4.5

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