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【映画レビュー】マリッジ・ストーリー

Amazonオリジナル作品で当たりを引いたので、Netflixオリジナル作品も見てみようと思って評価の高いこの映画を見てみた。個人的には、まあ悪くないけどそこまで評価される程かな……?という印象。

ある夫婦の、離婚を描いた作品。才能のある舞台監督の夫と、その劇団の主演女優である妻と、8歳の息子の家族の物語だ。
アメリカでは本作で描かれている離婚はわりとスタンダードなのだろうか?日本と全然違っていて驚く。私は訴訟大国の離婚ってこんな感じなのかぁと他人事として楽しめるが、アメリカ人にとってはリアルで自分にいつか降り掛かってくるかもしれない災難として身につまされる話なのかもしれない。

離婚手続きは全く見慣れないもので驚いたが、離婚理由についてはわりと共感できる。ただ、意外と些細だとも思った。人によっては離婚するほどの事かな?と思ってしまいそうだ。正直、メインの離婚理由よりもサブ的な扱いの離婚理由の方がわかりやすいのだけど、サブに徹してあまり取り上げられないのが不思議だ。
でも、この他人にはなかなか理解されないだろうけど自分が踏みにじられているような感覚、改善の見込みはないという諦め、一緒に暮らしていくのは無理だけど嫌いな訳じゃないというもどかしさみたいなものは、個人的にはかなり理解できる。理解できるけど、何というか物足りなさみたいなものもちょっと感じる。

ただこの曖昧さ、離婚理由の弱さが大事な要素である事は理解している。本人たちが円満に、なるべく争わずに離婚しようとしているのとは裏腹に、弁護士たちはどんどんヒートアップして、些細な事を悪し様に言って少しでも自分たちに有利に離婚を進めようとするその対比が肝なのだろう。この訴訟の中で起こる過剰な争いは、本当に訴訟大国の負の部分が色濃く出ていて、きっと社会への問題提起にもなっているのだろう。

家族に対する愛情も感じるし、登場人物が完璧ではないにしても好感を持てる人柄だと思えるし、これが伏線になるのかという意外な上手さを感じるストーリーでもある。何というか、ケチをつけるところが特にないのだけど、良い映画だったなぁという満足感を得られなかったのが不思議な、なんだか不完全燃焼な作品だった。個人的には、決して地味な作品に魅力を感じないという訳ではないのだけど……。

『マリッジ・ストーリー』 2.5

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