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【映画レビュー】キラー・インサイド・ミー

なかなか物語として成立しにくいサイコパスを、わりと意味がわからないものとして楽しめる範囲に描こうとしている意欲作かもしれない。全然好きな作品ではないけど、出来の悪い映画ではないと思う。

誠実で評判の良い保安官の、裏の顔を描いた物語である。彼の悪意に満ちた裏の顔は、サイコパス的で理解し難い。
彼は人の道を踏み外しながら、それを隠して表の顔を維持しようという気配があまりない。そういうロジックが通用しない、何をしたいのか全くわからない部分があるのが気持ち悪い。この気持ち悪さを楽しめるというか、こういう映画もあるんだなと楽しめるスタンスでいられないと、きっとこの映画を酷評してしまうのだろう。その気持ちは、理解できる。

劇中のある彼のセリフは、彼の心情をかなりわかりやすく表していると思った。
「俺はフェンスをまたいで立っている
動いたり飛んだりできず体が裂けるのを待つだけ」
自分ではどうにもできない衝動で行動してしまい、わかっていて破滅の道を進んでいるのだろう。

『キラー・インサイド・ミー』 2.5

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