【映画レビュー】マジック・マイク ラストダンス
大好きな『マジック・マイク』シリーズの3作目を見つけて(タイトルから察するにシリーズ最終作だろうか?)飛びついた。これが最後かぁ……と思ってしまう部分もあるが、最低限見たいものは見れた感じもする。
シリーズを通して、チャニング・テイタム演じる男性ストリッパーのマイクの人生を描いている。1作目は、わりと狭いコミュティの甘くて苦い若者の青春を描いているような感じ。2作目は仲間とストリップ大会に出場する、ド派手でエンタメ要素の強いロードムービーって感じ。本作はそこからずいぶん時間が経過し、すっかりストリッパーから離れていたマイクが金持ちのマダムに見初められてストリッパーの経験を生かして舞台演出をする物語である。
このシリーズ、1作目は青春、2作目はエンタメ、3作目は芸術と、ストリップという軸がありながらも3作それぞれかなりテイストが違うのが面白い。田舎のストリップ劇場から、全米のストリップ大会へとスケールアップし、そこから欧州に渡って芸術に昇華する、みたいな割と納得できる変遷である。
ただ、そもそも『マジック・マイク』シリーズって別にストーリーとか構成とかが素晴らしい映画じゃないから、刺さらない人には全く評価されない映画だと思う。私がこのシリーズが好きなのは、ハッキリと男の性を売りにしている事と、ダンスの魅力のせいだと思う。
そして、今回は上記の私が好ましいと感じている要素が不足していたように感じた。もちろんセクシーなシーンはあるけど、男の性を全面に押し出しているという明け透けな感じがない。これは本作が目指す所が芸術である部分が関係しているのかもしれない。それと、ダンスの分量はある程度多いのだけど、見たかったダンスはコレジャナイ感じがすごくあった。私が『マジック・マイク』に求めているのはダンスじゃなくて、ストリップダンスだったと気付いた。チャニング・テイタム演じるマイクが踊っているのを見て、ダンスとストリップダンスが全くの別物で、私が求めている踊りを踊っているのは本作ではチャニング・テイタムしかいないのだと理解した。別に他の登場人物のダンスのスキルを否定する気持ちは全く無い。この映画に求めているのが、ダンスのスキルではなく魅力的なストリップだっただけだ。
それと、男同士の友情みたいな要素がけっこう大切だったんだなと思った。これも本作に欠けていた部分だった。
ストーリー自体は、凡の凡って感じだ。一難去ってまた一難を繰り返す、ありきたりなストーリーだ。主人公と金持ちのマダムの一番の敵がマダムの義母で、最終的にその人をストリップの力で懐柔する話なのかと思っていたら、最後まで登場しなかったのは意外だった。まあ、『マジック・マイク』にストーリーを求め過ぎるのは、あまり意味がない。
色々言ったけど、チャニング・テイタムのダンスには本当に価値がある。と言うか、この映画の価値の全てはあのチャニング・テイタムのダンスだと思う。それだけで、見て良かったなと思った映画だった。
『マジック・マイク ラストダンス』 3.0