【映画レビュー】名探偵ポアロ ベネチアの亡霊
名探偵ポアロが活躍するシリーズの3作目。1作目の出来がめちゃくちゃ良くて、2作目が何だか思っているのと全然違って、3作目で持ち直してそこそこの満足感を得られるって映画のあるあるなんだろうか?本作も、そんな感じである。
探偵を辞めベネチアで隠居生活を送るポアロが、友人に誘われ霊媒師の行う降霊術のインチキを暴くためにいわくつきのお屋敷を訪ね、そこで新たな事件に遭遇してしまうストーリー。
始まりからベネチアの街の圧倒的な画力には感心してしまう。序盤の雰囲気から、本作では1作目のコメディらしい雰囲気が戻ってきたのかと思ったけど、それも序盤のみでやはり本作もシリアス路線だったのはちょっと残念だ。と言うか、2作目とも違うホラーテイストで、まぁこれはこれでアリだけど謎解き探偵モノにこれを求めるかなぁ……という感覚で見ていた。ポアロだと思って見ていなければ楽しめたのだろうけど。
ポアロのキャラクターは1作目と2作目のちょうど中間くらいの、1作目ほど軽快ではないけど2作目ほど横暴でもない感じで、ある程度は楽しめた。登場人物の関係性がちょっとわかりにくく感じたのは、私の集中力が足りなかったせいなのかもしれないけど、説明不足だった気もする。私があまり人の顔を覚えないタイプなので、屋敷の女主人とメイドと作家が似たような顔に見えてしまったのもちょっと困った。ただまあ、いかにも探偵モノらしい個性的な登場人物たちが、少しずつ秘密を抱えそれを探偵に暴かれていくみたいな、見たいものを見れた感覚はあった。
でも、やっぱり犯人には納得いかなかったかなぁ……。裏をかきすぎて納得感が疎かになってしまった感じがした。あと、これはこのシリーズ全体の特徴だけど、殺人を暴く過程で明るみになったその他の悪事を自省を促して放免しすぎだと思う。情けをかけたくなる事情も理解できるけど。
2作目の最後で剃っていたヒゲを再びたくわえるに至った経緯は、説明して欲しかったなと思った。そういう地味な不満とか、思いがけないテイストも感じたけど、まぁまぁ期待していたものも見れた感じはした。
だからまあ、1作目ほどではないけど、2作目よりは良いという感じだ。
『名探偵ポアロ ベネチアの亡霊』 2.5