見出し画像

【映画レビュー】余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。

スイーツ映画なのかそうじゃないのか、絶妙で悩ましいNetflixオリジナル映画。スイーツ映画評論家を自称する私にとって、大変興味深い作品である。

タイトル通り、余命宣告をされた高校生の男女の物語だ。そんなタイトルを付けるくらいだから恋の話なのかと思ったら、何というかそうとも言い切れないというか、とにかく恋愛を前面に押し出した作品ではない。
この恋愛要素が抑えめな感じが、スイーツ映画らしくない点なのだろう。恋愛か友情か曖昧なもどかしさが作品の面白さに繋がっていると感じる部分もあるし、恋愛映画だと思って見ているのだからもっとはっきり恋をするべきだとも思う。まあ、この恋愛か恋愛じゃないのかよくわからない部分が恋愛のひとつの醍醐味ではあるのだけど、でももう少し盛り上がりが欲しかったなと思う。この映画の一番の盛り上がりという位置づけであろう場面は終盤にあるのだけど、そこを頂点にするために他の重要な場面ですれ違いすぎてしまっていて、ちょっと登場人物がかわいそうだなと思ってしまった。残された余命の中で、もっとキラキラ恋愛して欲しかったなと。

さて、そんなスイーツ映画らしくない面もあるものの、いかにもスイーツ映画らしい面も感じる。
やっぱり余命モノってこれだけ世にあふれているのに、まだ同じような作品を作るんだなと思ってしまう。余命宣告者同士というただでさえ非現実的な設定に、さらに不幸を重ねている感じとか、やっぱりどうしても入り込めない感じがする。つじつまが合わない場面は少ないものの、よくある話から飛び出した部分がほとんどないのは寂しい。
主要キャストがわりと好感を持てるキャラクターばかりだったのは良かったが、さすがに永瀬廉に高校生役をやらせるのは違和感があった。25歳という年齢を考えるとそんなに無茶な配役ではないのかもしれないけど、廉くんの大学生役や職業モノの色んな作品を見てきて今さら高校生というのはちょっとイメージに合わなかった。

監督が『今夜、世界からこの恋が消えても』の三木孝浩監督だそうだ。この人は私がスイーツ映画かどうか判断に迷う絶妙な映画を作るのが上手い。ちょっと『今夜、世界からこの恋が消えても』と共通点が多すぎるのは気になる。同じ監督の作品だと言われてみれば、雰囲気もよく似ている。

熟考の末、私はこの映画をスイーツ映画に認定しようと思う。タイトルの付け方、ありふれた余命モノ、恋愛要素は薄めなものの高校生世代の男女の関係がメインの物語、これはギリギリスイーツ映画。

『余命一年の僕が、余命半年の君と出会った話。』 2.5


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集