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純粋すぎる長男。

常々、我が家の長男は純粋すぎると感じるところがあった。
あまり疑わず、素直にすべてを受け入れるところがあったが、ここまでとは驚いた出来事があった。

今年の初夏の出来事である。

長男の通う幼稚園では毎年、年長組は遠足で動物園へ行く。
遠足当日までの数日間、おやつを決めてグループごとに買い物へ行ったり、園内を回る順番を決めたりと、わくわくが高まっていった頃、同じクラスのSちゃんが先生に、
「お弁当はどこで食べるの?」
と、聞いた。
その場に居合わせた長男。
長男も気になって聞いてみると、

「えっとね、ゾウさんの背中の上に乗って、落ちないように気を付けながら食べるんだよ。先生は、カンガルーの赤ちゃんにお願いしてポケットから出てもらって、カンガルーのお母さんのお腹のポケットで食べるんだ♬」

と、先生は冗談めかして答えた。
もちろん、Sちゃんは「うそだぁ~(笑)」と笑っていたが、長男は違った。
真剣な顔で、

「うん、わかった。がんばる!」

と答えたのだ。
そして、続けてこう言ったのだ。

「先生、カンガルーのポケットじゃ狭くて、ご飯食べるの大変だね」

何という純粋さなのだろう。
信じすぎて、訂正しようにもできなくなってしまった先生は、降園時にただただ平謝りだった。
まさかの出来事に私も笑ってしまったが、帰宅後に再度長男に聞いてみると、

「お弁当はね、ゾウさんの背中に乗って、落ちないように気を付けながら食べるんだよ。でね、先生はカンガルーのお母さんのポケットで食べるんだって。狭くて食べづらいよね」

と、わくわくしながら真剣に答えてくれたのだ。

ここまでくると、母である私も訂正できず、話を合わせ、翌朝先生にこっそりとまだ信じていることを報告し、先生は朝の打ち合わせで先生全員に情報を共有し、そのおかげで長男のキラキラワールドは壊れることなく、無事に遠足を終えた。

遠足当日には、すっかりと忘れていたため、何も問題なくお弁当を食べることが出来た。
もしも覚えていた場合は、「ぞうさん、今日はお腹が痛いんだって」作戦でいこうと考えていたが、何とか事なきを得た。

とにかく素直で純粋な長男。
長所ではあるが、時に大変な事態を引き起こす、底知れぬ力を持っているようだ。

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