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クリエイターエコノミーの「リアル」な話

情報収集や経済ニュースの勉強のために始めたLinkedIn 。私は今、LinkedInでクリエイターとして活動をしています。クリエイターとしての活動が、「女性のキャリア形成問題に対するオピニオンリーダー」としての私のイメージにつながり、自分のブランディングができました。やがてメディアの取材やお仕事の依頼に繋がり、私は多大な恩恵を受けました。

なにかと発信を躊躇しがちなSNSですが、私の先行事例がLinkedInにおいて1つのモデルケースとなったようです。私は日本においてワーキングマザーを含む全てのビジネスパーソンが自由に働けるよう、キャリア形成における課題を解決したいという想いを持っています。そのような想いを自分の経験を交えて発信し続けました。今では多くのLinkedInクリエイターの方々が、それぞれの想いを持って活躍しています。小さな発信活動からスタートし、自分の考え方に共感してくれる読者の方々に反響が広がり、やがてクリエイターを中心としたコミュニティーが出来上がって成熟した私の事例は、LinkedInにおいて一つのモデルケースと捉えていただけたようです。これはクリエイターエコノミーの走りと言えると思います。

その過程において一般人である私が経験したことを皆さんに伝え、日本のビジネスパーソンがもっと積極的に自分の意見を発信し、自分らしく働ける世の中になればいいなという願いを込め、皆さんに私の経験を共有したいと思います。

■クリエイターエコノミーとは

クリエイターエコノミーという言葉があります。クリエイターエコノミーとは、個人のクリエイターが自らの表現を用いて収入を得ることにより形成される、主にウェブ上の経済圏のことです。クリエイターエコノミーで用いられるプラットフォームは、日本ではYouTube、Instagram、TikTok、Twitterなどであり、いわゆるユーチューバーやインスタグラマー、ティックトッカーなどが代表的な例です。個人のクリエイターが関わるジャンルはファッション、旅行、食べ物、教育、ビジネスなど様々です。そしてクリエイターエコノミーの収益モデルとしては、広告収入、投げ銭、有料定期購読、デジタルコンテンツ販売、ライブ配信、オンラインサロン、ファンクラブなどこちらもたくさんの方法があります。

こうしたクリエイターエコノミーの中心にいるのがクリエイターです。個人の発信がきっかけとなって始まり、クリエイターにファンが生まれ、やがてコミュニティーになっていきます。活動のきっかけは「自分の創作した物・サービスを発信したかった」が65%という調査結果があり、必ずしも収入を目的とせず、趣味や特技の延長から収益につながっているケースもあります。潜在クリエイター数は2,200万人にのぼると推計され、市場規模は2034年に10兆円超に拡大が見込まれるとも言われています。(※出典:日本初※!国内クリエイターエコノミー調査結果を発表

■LInkedInクリエイターとは

LinkedInクリエイターとは?
世界最大のビジネスSNSであるリンクトイン。その中で積極的に情報を発信して、多くの読者を獲得しているユーザーが「LinkedInクリエイター」です。

出典:LinkedIn for creators

私がクリエイターとして活動しているのはLinkedInというソーシャルプラットフォームです。LinkedInは日本ではまだ知名度が高いとは言えませんが、世界的には200以上の国と地域で8億5,000万を超える人々が利用している、ビジネスに特化したソーシャルプラットフォームです。日本での登録メンバー数は300万人を突破しています。(※出典:LinkedIn、日本での登録メンバー数が300万人を突破

世界的には有名なSNSでも、日本では「LinkedInって何?」という方がまだ多いと思います。そこで日本でよく使われているSNSのユーザー数とLinkedInのユーザー数を調べてみました。

▼日本国内の代表的なSNSユーザー数
Twitter 4,500万人 (2017/10)
Instagram 3,300万人(2019/06)
Facebook 2,600万人(2019/07)
TikTok 1,690万人(2021/10)
LinkedIn 300万人(2022/8)

出典:インスタラボ

SNSのユーザー数を比較してみると、日本のLinkedInはまだ発展途上です。しかし全世界で見てみると、LinkedInのユーザー数は8億5,000万人以上(2022/8)であり、Twitterの全世界ユーザー数は3億3,000万人(2019/05)ですので、集計した年は違えどLInkedInは世界的にメジャーなプラットフォームと言っても良いと思います。実際に世界のSNSのトップ10に入っています。(※出典:インスタラボ

LinkedInは「実名登録のSNSであり、ビジネスに特化したプラットフォーム」であることが最大の特徴であり、海外では職務経歴書の代わりに使われるケースが多いようです。日本で言うところの名刺交換は、LinkedInの「つながり申請」になり、転職活動や顧客開拓、ビジネスの情報収集といった目的で使われています。海外の学生がインターン先を探す目的で、LinkedInが使われることもあるようです。

■LinkedInクリエイターとしての私


「転職活動におけるスカウトサイトのようなもの」という認識が強いLinkedInですが、実は編集部が存在し、日々のニュースやユーザー投稿をキュレーションしています。そして「クリエイター制度」というものがあり、今では編集部に申請をして何も問題がなければ、誰でもクリエイターになれます。「クリエイター制度」は2020年、クリエイターを軸として日本のLinkedInを活性化させる目的で始まり、当時は編集部の方が積極的に発信をしているユーザーに声をかけていました。私はその時「クリエイターをやりませんか?」と幸運にもお声がかかり、活動することになりました。クリエイター制度が日本で始まった2020年当時はコロナ禍であり、世界的に女性の雇用が脅かされ、日本では女性の自殺が増えた悲しい時期でもありました。日本国内でも女性活躍文脈のニュースが増え、少子高齢化社会における労働力不足を補う解決策として女性の労働力が注目されている時期でもありました。私は当時「専業主婦から社会復帰したキャリアアドバイザー」という軸で継続的にLinkedIn上で発信をしていたため、当時の時流に乗りお誘いを受けたのです。

■クリエイターは儲かるのか

結論から言うと、儲かりません。個人事業主でも経営者でもなく、いち会社員としての立場から発信していたため、顧客獲得の目的はありませんでした。そして私が継続的に発信している女性活躍文脈の内容は、社会課題の要素が大きいです。事業としてはマネタイズが難しい領域ですが、人口の約半分は女性であるため、多くのユーザーに刺さりやすい内容でした。女性活躍文脈に紐づく様々な社会課題は、今の日本の課題感に合致し、また世界的に共通な問題であるため、注目を集めやすかった側面があります。私はLinkedInという自由な言論空間で、女性のキャリア形成問題を知ってもらいたい、元専業主婦でも十分ビジネスで活躍できることを証明したいという想いがありました。元専業主婦である私が主婦としての義務をある程度果たしたのち、ビジネス界に自力で復活して活躍することを自分自身で証明できたら、世の中に少しはインパクトを与えられるのではないかと考えていました。

しかし、いち会社員として会社のブランドを毀損せずに、個人のブランドを立てていくという世界観は、日本ではなかなか難しいでしょう。上司や同僚、関係者の目が気になり投稿内容の選定が難しく、炎上したらどうしようという不安がつきまといます。私は自分自身がブランク7年の元専業主婦であることから、ビジネス界で這い上がるしかなく、女性のキャリア形成問題については臆せずに投稿しました。専業主婦の社会復帰が難しいという問題は社会課題だと考えており、それゆえに「クリエイターとして儲ける」という目的は私にはありませんでした。女性活躍文脈の課題感は世間に共通していることもあり、会社のブランド毀損を気にすることなく発信することができたのです。しかし当時の会社の上層部の方からは毒にも薬にもならない内容だと思われたのか、「あなたの発信は無味無臭だからウケるんでしょ?」と嫌味を言われたこともありました。当時の私は、ただこの社会課題に対して多くの人に当事者意識を持ってもらいたいという思いだけでLinkedInで発信をしていました。よって、クリエイターとしてのお金儲けはできていません。

■多くの取材を受ける

クリエイター活動により、私は多くのメディアの方から取材を受けました。私の発信内容がLinkedIn編集部の方や広報の方の目に留まり、LinkedInの様々なイベントに呼んでいただき、国際女性デーのブランド動画LinkedIn Opportunity Index Japanに出演し、仕事でブランクのある女性が就職を成功させるという講座も担当させていただきました。またBBC NEWS JAPAN日経xwoman東洋経済オンラインなど、大手メディアの方に取材をしていただき、女性活躍や女性のキャリア形成の難しさについて、多くの方々に私の意見を届けることができました。加えて女性のキャリアに関するイベントへの登壇依頼もいただき、特定非営利活動法人主婦キャリアのアンバサダーも務めています。このように個人としてメディア露出することは、発信活動がなければ到底実現できるものではありませんでした。本当に皆さんのおかげであり、私にとっては想定外の出来事でした。

■その後私はどうなったのか

多くの取材を受けたり、登壇依頼をいただいたりしたことで、良い影響も悪い影響もありました。良い影響としては「女性のキャリア形成問題に対するオピニオンリーダー」としてのイメージを確立したことです。また発信活動自体を実績と認めてもらい、新たに正社員として再就職ができたことは非常に大きなことでした。副業のご依頼もいただき、正社員としての業務以外にも、たくさんのチャンスをいただきました。悪い影響としては、多くの取材依頼や登壇依頼が逆に妬みを買って、転職を余儀なくされたことや、誹謗中傷を受けたことです。非常に辛い経験でしたが、総じて良い影響のほうが多く、「女性のキャリア形成問題」に対する私の発信活動に賛同してくださるユーザーの方が増え、一つのクリエイターエコノミーが生まれて育ちました。

■私のこれから

私には「女性のキャリア形成問題に対するオピニオンリーダー」という大きなタグが付きました。「私が日本のLinkedInを牽引する!」という独りよがりな使命感がありましたが、母親として自分が抱えてきた辛さや課題を、娘の代に持ち越したくないという想いもあります。私はLinkedIn ユーザーを増やすためにLinkedInに協力した側面もあるとは思うものの、一般のワーキングマザーである私が受けた恩恵は非常に大きかったです。この2年を振り返ると、クリエイターとしての覚悟や、周りからの期待とプレッシャーに勝手に押しつぶされそうになりながら、やり切りました。そしてブランディングの最初から最後までの一通りを経験できたと感じています。私のこれからは、ブランディングができた私の再ブランディングにチャレンジしてみようと思います。クリエイターとしての再出発をして、新たなステージの私を始めたいと思っています。

■最後に

「個人のブランディングが会社のブランディングにつながる」そんな世界観が現実になれば、素敵だと思います。私はLinkedInならこの世界観が実現できると信じています。「社畜」と言われることもある会社員ですが、もっと自由にSNSで発信できたら、ビジネスパーソンはもっと幸せに働けるんじゃないかと考えています。一人でも多くのビジネスパーソンが自由に発信活動を楽しめたら、日本は変われると思います。そしてワーキングマザーを始め、働きたいと願う女性が、自由に楽しく働ける世の中になってほしいと願っています。


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