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10年後に知った衝撃の真実(貴方は猫攫いだったの⁈)
我が家には3匹の猫がいる。
サバシロのハル10歳♂
ハチワレのコナツ10歳♀
白黒ブチのアッキー5歳♂
多分ハルとコナツは姉弟らしい。
何故「らしい」かというと、そもそも10年前に2匹を保護したのは私の義理の弟で、彼が飼い犬(ごっついドーベルマン君)と散歩中に農道の端っこに2匹一緒にいたのでこれは姉弟に違いないと思ったらしい。
10年前のその日は早朝とはいえ7月の暑い日で、しかも農道にはそこそこオートバイやらトラクターだのが走っていた。
義弟は放っておくのは危険だと保護を決意。
痩せて元気のない黒っぽい子猫はすぐに捕まえられた。がもう1匹のハチワレ子猫は元気に飛び跳ねていてどうしたものかと思ったが、1匹だけここに残しておくのも心配なので一緒に連れ帰ったと言う。
保護した後、妹夫婦が動物病院に連れて行くと2匹とも脱水症状があり、とくに弟猫(体が小さいのでとりあえず弟と認定)の方は下痢もしていてそのま放っておいたら危険な状態だったと言う。
当時妹夫婦の家にはドーベルマンが3頭おり、それでも一緒に飼うつもりで仔猫達を保護したそうな。
そんな妹夫婦からLINEで送られて来た2匹の仔猫の写真を見るなり、娘の目が輝いた。
「可愛い!」
(可愛い、、かな?)
妹が両手に持った小さな子猫たちの写真。
片方は白黒のハチワレ猫で鼻が黒く、しかもカトちゃんぺッの如く鼻の下に黒い髭模様がある。
女の子なのにどこからどう見ても、ちょっと不細工だ。
もう片方の男の子はカトちゃんぺッのお姉ちゃん猫より一回り小さくて痩せている。ちょっとネズミっぽい。どこからどう見ても病弱で幸薄い。
そんな事を私が考えている間に、娘は妹とLINEで何やらやりとりをしていたらしい。
そして突然宣言する。
「2匹ともうちで飼おうよ!
〇〇ちゃん(妹の名前)もママが賛成ならお願いしますって!」
「え?うちで? うちで飼うの?2匹とも?」
急な展開に言葉もでない私に娘が畳み掛ける。
「大きなワンちゃん3匹といきなり赤ちゃん猫2匹じゃ、飼う方も飼われる方も大変だよ」
「私、ずーっと猫飼うのが夢だったんだよね」
「これも何かの縁だよね」
「名前はどうしようかなあ」
以下延々と続く。
実は、私は何を隠そう猫が大好きだった。
小さい頃から縁側にはいつも猫がいたし、道に猫がいると「こにゃにゃちわ!可愛いでちゅねー」と謎の赤ちゃん言葉を操り、ふらふらと近づいて行くくらいには猫好きである。
が、その後の世知辛い住宅事情で猫を飼うことは出来ず、猫と一緒に暮らす夢は叶わずにいた。
だが今は小さいながらも庭があり、夫の仕事や私の生活にも少し余裕ができたので飼おうと思えば飼える、そんな現状においてそれでも私が二の足を踏む理由は
①小さい頃、野良猫がうちに遊びに来ていたけど、ちゃんと家猫としては飼った経験がない。
②夫があまり猫が好きではない。
③いつか猫を飼う機会が訪れたなら、できるならアメショーを飼うのが私の長年の夢だった。
④大切な命を預かり、その命を最後まできちんと看取る事への責任と覚悟をもてるか。
そんなこんなで、なかなか決断できない私に娘は宣言する。
「アメショーだろうが野良だろうが、猫は猫。
どんな子もみんな可愛いに決まってるよ。
でもうちに来たら、その子が1番ってなるに決まってる!パパがあてにならないなら私が一緒に面倒を見るから。ママに全部任せたりしないから。ね、お願い!」
この娘の必死の願いに私も決断する。
「そうだね!うちで飼おう!」
その晩、仔猫2匹を妹夫婦から引き取るに至る成り行きを、全て事後報告で聞いた夫の一言は、
「別に構わないけど、面倒はママたちが見てね」
であった。
こうして、2匹の仔猫は正式に家の子となった。
小さな仔猫は晴れた夏の日に拾われ我が家に来たので「ハル」と「コナツ」と命名される。
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あんなに猫達の面倒は私がみる!と張り切っていた娘だが、その後結婚して家を出たので結局のところ私と夫が猫達の世話係を仰せつかっている。
それでも私たちが旅行で家を空けるときには仕事帰りにうちに寄ってくれて、夫君も一緒に猫達の面倒を見てくれるのはとても心強い。
因みに私の夫は今、3匹の猫達を溺愛している。
ハルとコナツが我が家に来たその日から、そして5年後、3匹目のアッキーが我が家に来たその日からずっと溺愛している。
それぞれ結婚して家を出ている息子と娘は、甲斐甲斐しい父親の姿をまじまじと見て溜息をつく。
「猫嫌いがここまで変われるもんなんだなあ」
「猫の魔力、恐るべし!」
「ハルは本当にハンサムで優しくて良い子だね」
「コナツは人間だったら東大行けるな。賢いもん」
「アッキーはドアも開けれるし、キャッチボールもできるし天才猫だ」
「それにしても猫ってさ、存在そのものが愛しいよね」
と今日もいそいそとうんちをとり、オシッコシートを交換する夫を見て私も思う。
家族で愛するという気持ちを共有できる事はとても幸福な事だ、と。
月日は流れ、保護当時2ヶ月くらいだった(獣医さん談)ハルとコナツも今では立派な中年猫。
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そんなある日、久しぶりに妹夫婦の家に遊びに行って、ハルとコナツを保護した時の話になった。
義弟「そういえばさ、ハルとコナツを家に連れて帰った後、すぐに農道に戻ったんだよね」
私「なんで?」
義弟「2匹から少し離れた所にコナツとそっくりの子猫がもう1匹いて、一緒に保護しようと思ったら、その子は元気で逃げちゃったからさ」
妹「え? もう1匹いたの?」
義弟「うん。もう1匹いたよ」
私「なら3兄弟だったのか。その子1人になって寂しくなっちゃったね。元気でいるといいねぇ」
義弟「元気だったよ😃」
私・妹「え? いたの? どこに?」
義弟「農道の少し離れた所に納屋みたいなのがあってさ。その前で母猫と一緒に日向ぼっこしてたもん」
私・妹「母猫? 母猫??」
義弟「あの後、俺もずっと気になっててさ。
ハルとコナツがお姉さんのところに貰われていった後も、散歩の度に探してたんだよ。そしたら、1ヶ月くらいしてからかな。逃げちゃったハチワレの子猫と、その仔猫そっくりな大きな猫が納屋の前で日向ぼっこしてたんだ。多分、あれは母猫だよ。母猫と一緒なら寂しくないよね。俺も安心したよ」
私「なら、、その母猫はハルとコナツのお母さんってこと?」
義弟「たぶん、そうじゃない?」
暫しの沈黙が私と妹の間に流れた。
妹「母猫からしたら、貴方は可愛い我が子を2匹も攫った猫さらいだね」
義弟「さ、攫ってなんかいないよ!保護したんだよ」
妹「猫からしたら一緒だよ。お母さん猫、さぞ哀しかったろうね」
義弟「………」
私「で、でもさ、あの時保護しなかったら脱水と下痢で、コナツはともかくハルは生きられなかったかもしれないし。やっぱり恩人だよ。猫さらいなんかじゃないよ。母猫ときょうだい猫は、そりゃびっくりしたかもしれないけど、猫さらいなんかじゃないよ」
妹「でも、目の前で兄弟持って行かれて、残ったもう1匹の子はトラウマかも」
義弟はしゅんとしてしまった。
義弟「コナツは連れてこなかった方が良かったのかなあ」
微妙な空気が流れた。
でも、なんとなくだけど私は、ハルはコナツがそばにいなかったら長生き出来なかったような気がする。ハルとコナツはいつも一緒だったから。
私「義弟君のおかげでハルとコナツは私たちの家族になって、あれから10年ずっと一緒に暮らしてる。感謝してるよ!」
それは心からの思いだった。
猫を保護する事は、下手をすると猫攫いになるかもしれない可能性を初めて考えた。
状況と咄嗟の判断が問われる難しい問題だ。
今まで深く考えることは無かったけれど。
あの時、ハルが義弟に命を救われたのは事実だ。
でもコナツは?
義弟が一緒に連れてこなかったら、もう1匹の兄弟猫と母猫と一緒にずっと暮らせていたかもしれない。
せせこましい家ではなく、環境は厳しくても広い自然の中で、好きなだけ走って、どこまでも走って。
野良猫の生活環境は過酷で寿命も短い。
でも、そこにはなにものにも変え難い自由な世界があったはずだ。
コナツはどう思っているのかな?
10年経った今も、ハルとコナツは本当に仲良しで、気がつくといつもピッタリくっついている。
5年前に私が保護した仔猫のアッキーを受け入れてくれた優しい姉弟猫。
アッキーは10月の雨の夜、人気のないバス通りで
身体中の力を振り絞って鳴いていた。
ニャーニャーではなく、ギャンギャンと静かな住宅街に響き渡るような声で鳴いていた。
(お母さん猫を呼んでいるんだな)
近くを見渡しても母猫の姿はなかった。
仔猫は全身びしょ濡れになりながら、よちよちとバス通りの端っこを行ったり来たりしている。
私が仔猫を見つけてから既に15分は経っていた。
あと少しだけ母猫を待ってみようか?
そう思った時、私を見つけた仔猫はちょこちょこと一目散に駆け寄ってきた。
その姿を見た時、私は思わずしゃがんで両手を差し伸べていた。
仔猫はなんの迷いもなく私の胸に飛び込むと、その小さな爪でギュと縋りついた。
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最初、ハルとコナツが仲良しすぎて、アッキーを受け入れてくれるか心配したけれど
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2匹の猫はアッキーも仲間に入れてくれた。
でも暗黙のルールもあるようだ。
やんちゃな乱暴者だけど、ハルとコナツのそばに行く時はいつも少しだけ遠慮してるアッキー。
私の左手を枕にして眠るコナツの定位置を良く知っていて、そこには絶対入ってこないアッキー。
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でも、アッキーも家族の一員になったんだなあと最近よく感じる。
お互い鼻をツンツンしたり毛繕いをしあったり。
3匹が一緒にいると私も安心する。
ハル、コナツ、
アッキーを受けいれてくれてありがとう。
ハルコナツアッキー。
愛しい縁を結んでくれてありがとう。
貴方達のママとパパにしてくれてありがとう。
3匹の猫たちと共に暮らして行く責任と覚悟に、私と夫もまた生かされている。
どうかいつかくる別れの時まで、ずっとそばに居させて欲しい。
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