料理の美味しい温泉(女将さんの手料理限定)18
私は、鄙びた温泉が好きなので、泊まる旅館はどうしてもご夫婦や親子で家族経営されているような小さな旅館になります。そのような旅館だと、基本的に食事は女将さん、たまーにご主人や息子さん、娘さんが食事を作ります。
立派な板長さんが作る豪華な懐石料理にも憧れますが、私は郷土料理が好きなので、その土地の旬な物や名産を使った家庭料理がうれしいです。初めて見るもの、食べるものはワクワクします。
私の独断と偏見による温泉もよくて、女将さんの手料理が美味しい温泉を紹介します。17はこちら。
JALのスマイルキャンペーンを利用して函館行きの安いチケットを入手し、前から行きたかったボロ、あ、違う、鄙びた温泉宿に泊まった。
「いかめし」で有名な北海道森町にある濁川温泉だ。カルデラ内にあるため温泉が湧き出る。
田んぼの中に現れた、ボロ、あ、違う鄙びた宿。
北海道 濁川温泉 新栄館
憧れてた温泉宿。全然ラグジュアリーでもないし、お高い旅館じゃないけれどずっと前から来たかった。
90歳を超えたご主人、以前はお客さんと一緒にお酒を飲んでたらしいけど、今は耳が遠く、予約の電話も聞き取ってもらえず大変だった。
息子さんに代替わりしており、息子さんに対応いただいた。
温泉は明治時代に作られた混浴と、昭和に建てられた新館の女湯がある。憧れはもちろん古い混浴だ。
3つの簡素な浴槽が並ぶ。静かで「ボコっボコっ」って湯の湧く音しかしない。
泉質はナトリウム-炭酸水素塩泉•塩化物温泉。源泉は53度で熱めだが、加水や投入量を調節して自分好みの湯温にできる。
宿泊は新館。新館の女湯も見てみよう。
やっぱりあの混浴風呂には敵わない。結局入らずじまい。
さて夕食。夕食は新館の1階の食事処でいただきます。こちらは温泉が目的だったので、食事は全く期待していなかった…。いい意味で裏切られました。
郷土色豊かな食事は旅の一番の贅沢。今回は女将さんではなく、ご主人の息子さんが調理しています。完全な「ワンオペ」の旅館なんです。
やはり森町は”いかめし”です。焼きネギが良いアクセントでした。
サーモンが絶品。実はあまり好きではないのですが、こちらのサーモンは臭みが全くなく、濃厚でまるでまぐろの中トロみたい。タコも地のもので新鮮で美味しかった。さすが北海道!
トマトが湯むきしてあるの。こんなボロ、あ!違う、鄙びた宿の食事でこんなことされたら。
小鉢も秀逸で、全てに味付けのセンスを感じる。絶妙な味加減、ふきの煮物はだしの味がふきの香りをちゃんと引き立たせてる。
寄せ鍋もだしが美味い。なんだろ?全て丁寧に作られたお料理なんですよね。
女将さん直伝のレシピでもあるのだろうか?たぶんお亡くなりになっているのだけど、ロビーに女将さんの名前であろう、調理の賞状があったんですよね。きっとお料理上手の女将さんだったのでしょう。しっかり伝承されていました。
途中で運ばれてきたのが、なんと熊の肉。初めて食べました。知り合いの猟師さんが仕留めたそうです。臭みは全くなく、柔らかくて美味しかった。長時間煮込むことで柔らかくなるそう。
ヤマメの唐揚げはカラッと上がって日本酒が進む、進む。
そして最後のごはん。
北海道のお米「ゆめぴりか」です。なんと、息子さんが育てたお米だそうで、これがツヤツヤでもちもちでとっても美味しい!!!
道中、食事はきっと冷えたチキンカツかなー?でも全然いいよねー、あの温泉がメインだもんねー!なんて話してた。本当にごめんなさい!
翌朝、朝風呂から散歩へ。
旅館の前に広がる田んぼで息子さんがお米「ゆめぴりか」を育てています。夜、カエルの鳴き声がすごくて(カエル好き)見に行こうとしたら「熊が出るからやめて」と言われびっくり。
朝ごはん。安い航空券だったので朝早い便でした。朝食は8時からなのに、頼んだらなんと6時に用意してくれました。ホスピタリティも素晴らしい。
なんといってもこのツヤツヤの白飯。もはや、これと海苔と味噌汁でいいね。
じゃがいもは地元産。北海道だもん、当たり前かー!これまた味付けが絶妙でした。
黄身の上にコンソメをパラパラ。コクが出て美味しい。このひと工夫がうれしい。
しゃけもインゲンも味が濃くて美味しかった!
温泉が素晴らしいのは想像通りでしたが、こんなに美味しい食事にありつけるとは思ってなかった分、感激しちゃいました。豪華な料理じゃないんだけど、全て丁寧に作られたお料理。
また、高齢のご主人の介護をしながら、米づくりから旅館の運営、調理まで一人でこなす息子さんには脱帽。無理せず長く続けてもらいたいです。
【濁川温泉 新栄館】
1泊二食7500円(税込) Wi-Fiなし。アメニティは全て揃っています。
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