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8月の日記 ~37歳になりました~

1日(木)
iPhoneを12miniから14に変えて1ヶ月が経ったが、よく落とす。1日3回は落とす。大きいスマホはわたしには不向きだったかもしれない。落ちたときの音もかなり大きく、地味にストレスなのである。

2日(金)
義父母からメロンが届き、ご近所さんからマンゴーをもらった。冷蔵庫が突然リッチになったな...と思ったが、ふと去年もまったく同じ現象が起こっていたことを思い出す。ただし去年は大きな台風が発生しており、停電の噂があったためメロン2玉とマンゴー3個を1日で食べるというお金持ちみたいなことをした。結局停電したが、2時間ほどで復旧したため、残しておけばよかったと後悔したのだった。今年はじっくりいただこう。

3日(土)
息子がハッピーバースデートゥーユーを何度も歌ってくれた。ケーキを取られたり、プレゼントを自分のものにされたりしたが、今までで1番幸せな誕生日になったのでした。

4日(日)
世にも不思議な夢を見た。夢の中でずっと原稿を推敲しており、なんと目が覚めたら8割くらい出来上がっていたのだ。あとは文字を打つのみ。こんなことある?夢の中でした推敲ひとつひとつを鮮明に覚えている。ここの順番を変えた方がいいのかな?これは消そうか。などのポイントすべてがわたしそのものだった。いやわたしの夢だからそりゃそうなのかもしれないが、夢の中でわたしがわたしのやり方で推敲して、原稿が完成するなんて。明日も夢の中で原稿が完成しますように。

5日(月)
障がい者施設の虐待事件ルポ『黴の生えた病棟で』という本を買う。残虐なことをする人の多くは「普通の人」だというアイヒマン的な教訓を定期的に確認しなければいけないと思う衝動がわたしにはあり、こういう本をよく買ってしまう。当たり前に毎回胸糞が悪くなるが、定期的に胸糞の悪い思いをしなければいけないと思っているのだろう。

6日(火)
馴染みの占い師に「あんたはスナフキンみたいな人間だよ」と言われ、そうかもしれないと思った。

7日(水)
息子発熱。病院に行くと医師がアンパンマンのシャツを着ており、全小児科医がこの服装をしてくれればいいのにと思った。息子は嫌な検査に泣かず偉い。

8日(木)
息子、微熱続くもしっかり登園して偉い。咳で眠れないのに保育園ぐずりもなく、だけど家に帰るとずっと抱っこをせがんでおり、寂しかったのかな不安だったのかな本当は辛かったのかなと心配になる。なのに洗濯物や洗い物が溜まってしまうのが嫌で、泣いている息子に「ちょっと待って」ばかり言って家事をしてしまう。保育園を休ませればいいのに。家事なんて明日やればいいのに。息子はきっと、わたしの仕事と家事が嫌いだろうな。

9日(金)
『住みにごり』という漫画が気になってずっと読んでいる。止められない。読めば読むほどタイトルが凄い、と思う。家族が徐々に濁っていく様子が生々しくて恐ろしいが、何かの流れひとつで人は、家族は、簡単にこうなるのだと思う。

10日(土)
南海トラフが怖い。トラック運転手をしている弟に、今週のスケジュールを聞くとお盆休みとのことで安心。備蓄をしておきなさいとLINEすると酒ならたくさんあると返ってきた。脱水症状になるので酒の倍、水を置いておけと返す。なんかあった時のために遺書を用意してますと返事が来たので、水を買え、そしてイメージの問題だけどせめて遺言書と言ってくれと返信。暑苦しい顔の男と「隙など無い!欠片ほども!」という文字が入ったスタンプで無理やり締められた。

11日(日)
エイサー目的で行ったイベントで、病児×ママさん×マッチョ(!)によるウォーキングショーを見て思いがけず大泣き。子を愛しそうに撫でるママさん、この子かわいいでしょ?って顔してるママさん、恥ずかしそうにしてるママさん、みなさんとても綺麗で泣いた。病児をどう見ればよいのかわからず咄嗟に目を逸らしてしまったが、隣のマッチョこそ目のやり場に困った。素晴らしいステージだったが、パパさんは?と気になった。

12日(月)
ここ数日、子のイヤイヤ期が激しくなってきたので、うざいくらい愛情表現してみようと思いつく。大好きを50回くらい言って抱きしめてほっぺチューして胴上げ級の抱っこをしたら「えヘヘへへぇ」と照れた笑顔を見せた。2歳も愛に照れるのか。

13日(火)
ずっと取材してみたかった方の取材。とても丁寧に取材を受ける準備をしてくださっており、だからこの人はこんなに、と思った。一言二言しか話をしたことがなく、なのになぜかずっと好きな存在だった理由がはっきりわかった。彼女は他人に対してとても丁寧なのだ。丁寧に接してもらえてとてもうれしかった。

14日(水)
取材。社員を雇わず業務委託のみの雇用で会社を回してる社長さんが「社員は辞めるけどフリーランスは辞めないじゃないですか」と言っていて名言だった。でしょ?と聞かれて「ですね」と答えた。社員よりフリーランスが安定する時代か。

15日(木)
今日も息子はイヤイヤ期が絶好調のご様子で、夜ごはんを見た瞬間「イヤダー」と大泣き。一切食べず心が折れる。わたしはわたしのごはんを早々に食べ、しばらく拗ねていると息子が「抱っこ!」とせがんできた。拗ねているわたしは大人気なく「ママは頑張って作ったごはんを食べてもらえなくて悲しいから抱っこできません」と言う。(最悪だなわたし)と思いながらも本当につらくて無理だった。するとなんと息子が食卓に戻り、ごはんを食べはじめた。ぱくぱくと食べ、空っぽになったお茶碗をわたしに見せて、ニコリと笑う。全わたしが号泣。食べてくれてうれしい、息子やさしい、と思う気持ちと、無理させちゃったかな、こんなの不機嫌ハラスメントじゃないかという気持ちが半々の涙だった。やましさでスイカを切った。息子は喜んでくれたが、後悔は消えない。

16日(金)
なぜか家の近くでコウモリが出た。コウモリの鳴き声を初めて聞き、「ぴー」というかわいくも捉えられる声が逆に怖いと思った。

17日(土)
ワンオペ育児の日は体重がいつも少しだけ増える。脳みその消費が少ないのだろう。マインドフルネスだなと思った。

18日(日)
道じゅねーを見に行ったはいいが、夫婦揃って財布を忘れたことに気づく。駐車場代200円が払えない。咄嗟に近くにいた人にお金とPayPayの交換をお願いしたところ、快く引き受けてくれてありがたかった。見たか息子よ、他人はやさしいぞ。と心の中で思った。

19日(月)
急遽のお願いに即時対応してくれた上に「きっと頭を使う原稿があるんだろうなと思って」と糖分を差し入れしてくれた神様がいた。お盆でスイーツ店が休みまくりだったそうで、3軒もはしごしてくれたらしい。昨日に続き、人からの親切でわたしの中の傷んだなにかが徐々に回復している。

20日(火)
スレッズにモヤる。内容を要約すると「保育士が親御さんに水筒の沈殿物を指摘すると、沈殿物が出るお茶なんですと反論され、水筒を洗ってくださいと伝えるも毎日洗ってますと言われた」という内容。ん?どういう議題?とコメント欄を見ると「カビが生えてるのオブラートに包んで指摘してるのに気づいてない。こんな親御さんもいて保育士さん大変だな」ということらしい。え、そうなの?と思う。「沈殿物」がカビに繋がらない人はいると思う。わたしは繋がらなかった。麦茶作ったら多少沈殿するでしょって思っちゃう。職業柄、いろんなリスクを孕んでいて、言葉に気をつかうのはわかるが、適切な言葉で伝えることも大事だと思う。

21日(水)
書くことも読むこともできない時に読む本があり、平野紗希子さんの食エッセイはそのひとつだ。忖度ない文章が心地よい。わたしの仕事の多くは「よい」と書く文章で、小さな自分の感情に鈍感になりそうで時々怖くなる。「よくない」にも愛がある平野さんの文は凄い。

22日(木)
息子がウォーターサーバーから水を入れており、コップと押すべきボタンの位置が微妙にかみ合わず、カチッカチッと水が途切れ途切れになっていた。(あ〜わたしも時々こうなってイライラするんだよね)と思っていたら、息子はイヒッ、ヒヒッと笑っている。凄い。目的がすぐに達成できなくても、目の前で起こっていることをまっすぐ楽しむ息子が眩しい。

23日(金)
体調が悪いくせにごはんをたくさん食べて疲れた。

24日(土)
大好きなお姉さんと息子とランチ。わたしが好きな人のことは息子も好きなようで、珍しく息子が大変懐いておりうれしかった。

25日(日)
夜中に突然、腹部に激痛。これまではこんなことがあっても「そのうち治るよね」「治らなかったら病院行こう」としか思わなかったし実際に即入院になってもすんなり受け入れる人間だったのに、今はかわいい息子がいるので「なにこの痛み!!!やばい病気なんじゃ...?!死んだらどうしよう!」と過剰に恐れてしまう。過剰な人間のほとんどはなかなか死なないと思っているので、今の私はきっと大丈夫なんだけど。ということをスマホにメモしている間に痛みが和らいでいることに気づいた。

26日(月)
夫がAmazonで子ども用ヘアカットグッズを購入。マニュアルを見ると「準備物」に「YouTubeやテレビ」とある。じっとしてもらうためのアイテムらしい。YouTubeはもはや娯楽ではなく育児アイテムのひとつ。

27日(火)
なにもかも上手くいかず落ち込んでいる日に限って息子が不安定で、よく泣くわごはんを食べもせず投げるわで悲しさが溢れてしまい、泣く。自己嫌悪すぎて別室に引きこもっていると、少しして息子が来る。手にはからっぽのお茶碗。笑顔で食べたよって見せてくる。号泣。ああまたやってしまったと思い、ごめんなさいと思い、だけど今日1日をうれしい涙で終わらせてくれてありがとうとも思った。

28日(水)
悩んでいることの答えはだいたい車を運転しているときかシャワーを浴びているときに出る。

29日(木)
2日連続で確実に仕事に繋がる飲み会を断った。チャンスを逃すことと息子が寂しがるかもしれないこと、この2択だと私は絶対に後者が嫌で、それはやさしさとか母性とかではなく私自身がずっと寂しかったからなんだと思う。息子に寂しい思いをさせない方を選ぶことで、寂しかった過去の自分を癒している。

30日(金)
編集者よりいただいた「三好さんの感性で突破いただきたい」というコメントがうれしくて燃えた日。

31日(土)
ビーチパーティー。隣のブースで喧嘩が勃発しており、酔っているのかブチギレている男性が「俺はこいつと話がしたいんだ」と言っているわりに相手の話をこれっぽっちも聞いていなかった。きっと本当は話がしたいのではなく、もうずっと前から溜め込んでいる不満があり、伝える前からすでに相手の考えを決めつけていて、恨むところまでひとりで進行させてしまったのだなと思った。酒を飲んで伝えることではないが、酒を飲まないと出せないくらい相手のことが好きなんだろうな。後日お酒が抜けた状態で、ゆっくり話をする機会が作れているといいなと思った。


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