わたしは黙らない
うつ病患者、セクシュアルマイノリティ(パンセクシャル、性自認はない)、ポリアモリー(複数恋愛)、元風俗嬢、いじめ/虐待サバイバー。
これらはわたしのマイノリティな面である。社会に広く可視化されていないことをわたしはマイノリティだと思っている。マイノリティが可視化されていないのは、相手がどのように思うかを気にしてしまい自分から話すことが難しいから、というのが理由の一つにあるだろう。
可視化されていない、と書いたように多くの人がマイノリティな人と出会っていないと思っている。実際には会っているのにも関わらず、知らないのである。マイノリティであることを隠す人が多いのは想像に難くないだろう。
しかし、わたしは隠さない。なぜなら、可視化されていないということは、存在していないも同然だからである。更に、見えないものに対する偏見や差別をなくしたいからである。
例えば、元風俗嬢だと聞いたとき、あなたはどんなことを思うだろうか。ネガティブなことを考える人もいるだろうし、もちろんそうでない人もいる。しかし、実際にわたしは差別的な言葉を言われたことがある。「お前の稼ぐ金で奢られたくない」と。
また、セクシュアルマイノリティについても差別的な発言をよく聞く。トランスジェンダーの人に対して「気持ち悪い」と言ったり、同性愛者についての酷い差別。複数の人と恋愛するのは悪いことだと言われたこともある。
そんなことを言われても、わたしは黙らない。差別や偏見に対して自分自身を見せることで周りから変えていくためである。「うつ病患者も、セクシュアルマイノリティも、風俗嬢も、ポリアモリーも、自分の周りにいる人たちと変わらないのだ」、そう感じてもらうためにあえて話すようにしている。
「虐待やいじめを受けた人は可哀そうな人だ」という偏見にも、わたしは「それだけじゃない」と伝えたい。可哀そうでなければならないことはないし、サバイバーでも今は楽しく笑える人もいる。
人の中に意識されないほどの小さな偏見や差別さえも、わたしを見せることで、近くにマイノリティな人がいるということを知ることで、変えていきたい。そして、それは少しでも、未来のマイノリティな人たちの生きやすさに繋がるのではないかと考えている。
わたしは未来のためにも、黙らない。