ポリアモリーにおける「同意」と現実
わたしはポリアモリーだと思う。厳密に言えば、ちょっと違う。いや、かなり違うかもしれない。
ポリアモリーという言葉を使うとき、それは基本的に「同意を得て、複数の方とお付き合いする人」のことを指すだろう。違う言い方をする人もいるかもしれない。
わたしが知っている限りだと、おおよそ、このようになる。
しかし、わたしは「同意がなくてもいいのではないか」と思っている。そもそも、どうなったら同意を必要とするのかわからない。
付き合っていない人と手を繋ぎそうだとなったときに、付き合っている人に「この人と手を繋いでもいい?」と聞くのか、誰かと楽しく電話するときは事前に同意を貰うのか、「なんとなく好きかもしれないと思ったとき」や「この人といると楽しいと思ったとき」は、どうだろうか。
そんなことを考えると、わたしは、「いつ、どうやって、誰と、どのようになったら同意をとることができるのか」という疑問を持つ。
そしてそれは、「結局、人によって違うので、話し合って細部まで擦り合わせないとわからない」という回答に至る。
「同意をとる」という文言には、今書いたような「話し合いで擦り合わせること」が、人によって含まれていたり、いなかったりすると思う。
話し合いで擦り合わせることを含めない場合、お互いに思っている「同意」は大きく異なるのではないかと考える。
また、話し合って擦り合わせていても、完全にお互いが思う「同意」を理解することはできない。違う人間だからだ。
「お互いの理想や考えは違う」ということはわかるだろうけど。
ここまで書いたようなことを考えていると、「『同意』ってなんやねん」という気持ちになる。
そして、「同意」という言葉はとても曖昧で、不完全なものだということに気づく。
だから、本当にお互いのことを思いやって、同意を必要とするならば、まず、自分の全てをさらけ出すくらいの気持ちで「なにが同意なのか」を話し合うことから始めなければならないと思う。
そうしなければ、そもそも同意をとること自体ができないからだ。片方が「同意をとった」と思っていても、相手が「あれは同意じゃない」と感じていたら、それは同意を得たことになるだろうか。わたしは、ならないと考える。
しかし、話し合いはとても面倒な上に時間がかかり、体力や精神的なものを削られることだ。だから、多くの人は「暗黙の了解」の中で恋愛や結婚をしているのだと思っている。
ここで言う暗黙の了解とは、「一対一の恋愛が普通」「付き合った人以外と親密になるのは悪」「付き合ったらセックスをするのが当たり前」など。もっと古典的なことを書くと、「女が家に入って、男は外で稼ぐ」といったことが当てはまるだろう。
多くの人はこういった暗黙の了解に従って、恋愛や結婚、パートナーシップ制度の利用をしているように見える。
しかし、ポリアモリーはそんな暗黙の了解から逸脱している。「複数の人とお付き合いする」ということだけ見ても、そうだとわかるだろう。
そのため、暗黙の了解はポリアモリーとは相反するものだとわたしは感じている。ポリアモリーには、共通認識とされる暗黙の了解が効かない。だから、話し合うことでお互いの認識を知ることが必要だ。
そういったことは、「ポリアモリーは複数の人と同意の上でお付き合いする人」という文章を読むだけでは、見えてこない現実だ。実際に複数の人とお付き合いしても、わからないかもしれない。
わたしはポリアモリーだろうと自覚してから、そんな現実を知ることになった。
わたしとパートナーが思っていることは大きく違う。話し合っても、埋まらない溝もあるのだ。
それまでは、こんなにもわからないことがあるということを、全く考えもしなかったし、当たり前だが、大変なのも知らなかった。
それでも、今のパートナーと一緒にいるためには、話し合って擦り合わせることは必要だと感じている。
相手はポリアモリーではないが、それでも話し合うことは大事だ。
今回は、ポリアモリーから「同意」について考えて、話し合うことの難しさ、大切さに触れることとなった。わたしがこうして書かなくても、わかっている人はいると思うが、わたし自身が文章にしたかったので書いた。
どんなかたちでも、誰かと親密な関係になることは楽しいことばかりではなく、しんどいことも多い。それでも、わたしは一緒にいたいと思ってもらえるような人間でありたい。文章を書いていて、改めてそう思った。
パートナーと一緒に本を作っています。在庫数が、かなり少なくなったのですが、良ければお迎えいただければと思います。
また、文章フリマ大阪11に出店する予定です。ポリアモリーとモノアモリーについて、上記の交換日記の内容に加筆修正した新作を持って行きます。
良ければ、こちらもチェックしていただけると嬉しいです。
文章は気が向いたときに、ぽつぽつ書いております。作った本には、noteには書いていないことを載せているので、気になると思ってくださったら、プロフィールからSNSなどもご覧になってみてください。(本はパートナーとやっている文芸サークルうにゃむにゃで作っています)
最後まで見てくださって、ありがとうございました。