朝の日課はセッションだ!
正確に言えばセッション気分だ。
ここで言うセッションとは演奏者が集いジャズなどを合奏することだ。
毎朝1時間以上やっている。
これがどれほど楽しいことなのか紹介したい。
楽器を自由に演奏する楽しさは何物にも代えがたい
私は定年退職後にドラムを始めた。
ドラム缶でも富栄ドラムさんでもない。
楽器のドラムだ。
正確に言うとドラム演奏の再開だ。
若い頃やっていたが、仕事で余裕がなくなってからはやめていた。
家セッション
家に演奏者が楽器を持って毎朝集う訳ではない。
誰も集まらない。
私だけだ。
セッションの相手はYouTubeなどの音源だ。
もちろん音だけではなく映像付きだ。
音を出しているのは、ヤマハのHS-5という定番モニターで45Wのアンプ内蔵スピーカーだ。
優秀なスピーカーだがそんなに高額ではない。
1本1万円台で買える商品だ。
音源のYouTube動画にもよるが、生ドラムと合わせても負けていない音量を出すことができる。
ただ近隣の迷惑を考え、生ドラムも最小限の音量でコントロールできるようにトレーニングしている。
セッション相手は世界中のあらゆるプレーヤーだ。
ジャンルは主に4ビートやボサノバ、サンバ、ラテンなどのジャズと言われる音楽だ。
時には死後40年以上も経っているジャズの巨匠ジョン・コルトレーン様や、私の好きなチェットベイカー様ともセッションする。
相手のアドリブに合わせて盛り上がったり、時には相手を盛り上げるようなプレーを心掛けている。
もちろん生のセッションではないのでそう感じているというだけだ。
何度も同じ音源を使うので相手のアドリブも覚えてしまうほどだが、それはそれで勉強になることも多い。
人によってサビで独特なフレーズを演奏することもあるから、それに答えるようなフレーズを叩いてみようと考えたりするからだ。
家セッションでの効果
60歳を過ぎて再開したドラムだが、年齢的にもスキルアップは難しいだろうと考えていた。
もちろん最初は基礎練習から始めたが、ゴム製のパッドを叩くだけでは物足りない。
そこで取り入れたのがYouTube音源相手の家セッションだった。
音楽の三要素をひとりで演奏できるギターやピアノと違い、ドラムはその中の一要素だけしか演奏することができない。
メロディーとハーモニーがあるのと無いのでは楽しさも雲泥の差だ。
ドラムが元々独奏に適した楽器ではなく合奏向きなのは説明するまでもない。
この家セッションを始めた頃、本物のセッションにも出向くようになっていた。
本物のセッションは家セッションと違い、緊張感のあまり実力の50%ほども出せないでいた。
実力はもっと高いのにと思っていたのは自分だけで、実はそれが実力だったのだ。
はっきり言って下手くそだったと言うことだ。
本物のセッションではドラムの上手な人も来る。
惨めだとは思わないが楽しむことができないでいた。
もちろん上手な人は見るからに演奏を楽しんでいる。
本物のセッションを楽しむには上手になるほかないと思った。
本物のセッションで課題を見つけ、家セッションでその課題を練習した。
家セッションでも本番さながらの練習はできるものだ。
楽器の練習も毎日やると効果は絶大だった。
演奏スキルが上がるのが目に見えるほどだ。
大袈裟ではない。
私のドラム演奏の理想
ドラムの場合、本物セッションではほとんどぶっつけ本番だ。
知らない曲を演奏することも稀ではない。
それでも何とかなるものだ。
私が憧れるドラムスタイルはどんな曲でもコンテンポラリーに演奏できるプレーヤーだ。
迫力よりも静かに叩けるテクニック系のドラマーだ。
ドラムの場合はその小さな音をコントロールするのが非常に難しい。
誰でも強く叩けば大きい音が出せるが、小さな音は出そうと思って出せるものではない。
近隣迷惑にも対応した私にはちょうどいいスタイルだ。
しかも大方のセッション会場は狭く、大きな音を出すと他の人の音が聞こえなくなる。
少しずつ上達してくると、それに比例して楽しさも大きくなる。
これは楽器に限ったことではなくおそらくスポーツでも同じことなのだろう。
ゴルフもシングルくらいまで上達していたなら何がなんでも続けていたに違いない。
今は月に1〜2回行く本物のセッションが私の一番の楽しみになっている。
「今日はどんな人が来ているだろう」「今日はどんな楽器とセッションできるだろう」と想像するだけで心が弾む。
セッションは定年退職でリセットされた人脈を新たに作る機会でもある。
そのセッションのことはいずれ詳しく書くことにするが、家セッションの楽しみは他にある。
家セッションの楽しみ方
先ほど書いたように、世界のミュージシャンと演奏している気分になれることが家セッション最大の特典だ。
特に、自分よりも遥かに高いスキルを持った人達とセッションする楽しさを家で味わうことができる。
私が家セッションで最もよく利用しているYouTube音源は、スタジオで録音された音のいい動画だ。
そしてドラムが入っていない音源が最高だ。
例えばピアノとベースだけの動画や、ギターとベースだけの動画だ。
私がそこに入ればトリオになる。
私のドラムにはマイクもセットしているので、ミキサーからヘッドホンにYouTube音源と自分の音をいい状態にミキシングして出すことができる。
こうすれば録音スタジオでセッションしているのと何ら変わらない。
たまにキューベースでデジタル録音して客観的に聴くようにしているが、これもトレーニングの一環だ。
YouTube音源を自分のコンテンツとして発信することはできないが、一人で楽しんでいるのだから問題はないはずだ。
世界のプロミュージシャンと家でセッションできるのだから楽しくないはずがない。
いつものようにヘッドホンをして家セッションで一人盛り上がり過ぎていると、知らない間に妻が後ろに立っていることがあり驚かされることがある。
「あ~やかまし~」の一言を置いて出ていくが、私のホームスタジオに入ってくるときはノックぐらいしてほしいものだ。
どうせそのノックが聞こえるはずもないだろうが。
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