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なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか? 第1章

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宝塚は女性だけの劇団として多くの人に夢を与え続けて100年。  歌劇団のエピソードは、宝塚のブランドを支えてきた数々の理由の一つであること は間違いないと信じています。 「宝塚は…
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2021年9月の記事一覧

なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その5

なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その5

男はズドンと立っていろ!!これは今でも鮮明に覚えているエピソードです。
当時トップスターだった鳳蘭さんを筆頭に、男役ばかりのダンスの場面の稽古をしていました。
格好良い見せ場です。
私はまだまだ下級生で男役ばかりのこんなステキな場面に早く出たい! と思っていましたので、目を皿のようにしてどんな場面も見逃すまいと見ていました。

すると途中で突然、男性の振付の先生が大声で注意をしたのです。

「そん

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なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その6

なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その6

大きな羽根の秘密
フィナーレにトップスターが大階段に現れたとき、衣装の背中についている大きな羽根。
あの豪華な羽根は今やトップスターの象徴になっていますが、そもそもは娘役のものだったのです。

羽根はどのように衣装についているの?
今やトップスターの代名詞のようにいわれる大きな羽根ですが、もともとは娘役がフィナーレでドレスなどにつけていました。
1960年、芸術祭賞を受賞した『華麗なる千拍子』の中

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なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その7

なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その7

フィナーレといえば「シャンシャン」
みなさんが宝塚の舞台を真似するとき、必ず登場するのがフィナーレで手に持っているブーケのような小道具です。

これに正式名称は無く、私たちは「シャンシャン」と呼んでいました。

いろいろなデザインがあり、板の上に飾りを貼り付けてあるものや花束のような形のもの、燭台に似たものなどデザインはさまざまです。ただ出演者にしてみれば、なるべく軽い方がありがたいというのが本音

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なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その8

なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その8

娘役は、なぜあれほど愛らしいのか
女性が演じる「男役」と、女性が演じる「娘役」。
格好良い「男役」を究極まで格好良くする。
それは「娘役」の心意気次第。
そうして、「ステキ!」とうっとりするようなカップルが誕生するのです。

本当の恋人のように男役に尽くす
宝塚における娘役は、娘役自身の美しさや存在感に加えて、世界中どこにもいないステキな男役を、さらに格好良く、頼りがいのある男役にとグレードアップ

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なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その9

なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その9

ああ、究極のラブシーン
宝塚には無くてはならない「美しいラブシーン」。
稽古場でも、この場面になると、トップスターのすてきな芝居を見て、自分が出演者だということもすっかり忘れて見入ってしまったものです。

『ベルサイユのばら』のフィナーレのデュエットのボレロは美しくセクシーな振付で有名でした。
ファンだけでなく、出演者までもがこのダンスに心奪われ、その場面になると、みんな早替わりをしてでも上下(か

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なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その10

なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その10

娘役は背中で勝負する
娘役の美しさはどこ? と聞かれたら、私は迷わず「背中」と答えます。
娘役に必要なのは「情感」「情緒」です。
ちょっとした仕草の優しさ、美しさ、可愛さ、可憐さなど、娘役の「情感」によって男役はより格好良く、凛々しく見えるのです。

大劇場の隅々まで情感を伝える
男役は格好良さ、娘役は情感・情緒。
男役は「男役十年」といわれるほど研究をして、格好良さを身につけていきます。

では

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