なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その8
娘役は、なぜあれほど愛らしいのか
女性が演じる「男役」と、女性が演じる「娘役」。
格好良い「男役」を究極まで格好良くする。
それは「娘役」の心意気次第。
そうして、「ステキ!」とうっとりするようなカップルが誕生するのです。
本当の恋人のように男役に尽くす
宝塚における娘役は、娘役自身の美しさや存在感に加えて、世界中どこにもいないステキな男役を、さらに格好良く、頼りがいのある男役にとグレードアップするという重要な役目を持っています。
娘役が相手役に寄り添う美しさと可憐さで、その相手の男役はますます輝くのです。
娘役は稽古場ではレオタードの上から稽古スカートをはいて練習しますが、その丈は三種類ほど作ります。膝丈、ミディ丈、裾まであるロング丈。それぞれがほとんど全円です。
全円だと踊るとふわーと広がってとても綺麗に見えるからです。
その時々の作品に合わせてスペインものなど、情熱的な場面には黒とか赤、紫など、ファンタジックな場面には白、ピンク、淡いブルーなどを準備します。
相手役が決まっているときは、相手の男役の稽古着に合わせて雰囲気の良い色合いになるようにという気も利かせます。
髪型にも気を遣います。
男役と組んで踊るときにクルクルッと回してもらったり、リフト(男役が娘役を持ち上げたり腰にのせて回したりすること)がある場合、娘役の髪の毛が男役の顔に当たらないような髪型にしなくてはいけません。
持ち上げるときや娘役の背中をフォローして倒したりするときに、長い髪の毛を挟んでしまうようなことのないように、また、髪飾りやイヤリングなども、男役の手に当たって傷をつけたりしないように気を配っています。
「なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?」桐生のぼる著書より
つづく・・・・
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