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なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?その7

フィナーレといえば「シャンシャン」

みなさんが宝塚の舞台を真似するとき、必ず登場するのがフィナーレで手に持っているブーケのような小道具です。

これに正式名称は無く、私たちは「シャンシャン」と呼んでいました。

いろいろなデザインがあり、板の上に飾りを貼り付けてあるものや花束のような形のもの、燭台に似たものなどデザインはさまざまです。ただ出演者にしてみれば、なるべく軽い方がありがたいというのが本音でした。
というのも、客席から見て全員が並んだとき、手に持っている「シャンシャン」が豪華であれば舞台全体がとても華やかになるので、公演ごとにデザインに力が入り、時にはかなり大きくなったり重くなったりするからです。

特にフィナーレで、全員が舞台上に出そろって、いよいよトップスターが大階段の真ん中に登場する場面で、手に持っている「シャンシャン」をトップスターに向けて大きく差し出しお迎えをするときが大変なのです。「シャンシャン」を持っている方の手を頭の高さくらいに上げて、トップスターが歌い、ゆっくり階段を下りるまでの間、ずっと掲げているのですから。

特に『ベルサイユのばら』のときの「シャンシャン」は花のブーケの中に燭台があり、そのろうそくの先が豆電球になっていて明るくともるデザインでした。手で持っている軸の部分に単一電池が二個入っていたのです。その重みもプラスされかなりの重さでした。

出演者はニコニコと平気な顔をしていますが、舞台にはなかなか地味に大変なこともあるのです。

なぜ、下級生は廊下を直角に歩くのか?」桐生のぼる著書より 
                        つづく・・・・