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不思議な電車 〜14歳の思うこと〜
今日が終わって明日になってしまったのは、もう2時間も前のことだった。先程までパトカーのサイレンが鳴り響いていたけれど、だんだんその音も遠くなっていつの間にか聞こえなくなっていた。
シーンと静まり返った午前2時23分。
私はこれを書いている。
静寂の中にはほのかに温かさが漂っていた。私はこんな夜がとても好きだ。世の中の喧騒を逃れて、なんだか自分だけの世界にやって来たような気がするから。
喧騒なんていっても、私が家から出ることはめったにないし、誰かと直接会って話すことなんて家族ぐらいだから、喧騒という言葉のようなものを見聞きする機会などほとんど無いのだ。だが、それでもその言葉を使いたかった。
日々、世の中では様々なことが次々と起こり、そしてまたどこかに消えていく。そんなことが繰り返し繰り返し現象として現れる。それはきっと遥か昔から続いてきたことなのだろう。そんな、いまの世の中で起こっている出来事達、、、。
私には悪いことの方が圧倒的に多いように思われるのだが、それはやはり気のせいなのだろうか。
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ガタンゴトン。ガタンゴトン。ガタン....。
自分の体が揺れている。周りの人達もそれと同じように揺れている。なんだか最近、この電車の中が騒がしい。
車内が少しざわざわしている。もう少しだけでいいから静かにして欲しいんだが、、、。
まぁ、このご時世だし無理もないか。
そんなふうに思っていると、外の景色は先程までの風景とはまるで違うものに変わっていた。少し驚いたが、私はそこまで動揺することなく、いつもの事だとやり過ごした。
この電車は、なんでも、人によって見え方の異なる不思議な電車らしいのだ。
人によっては「そもそもこれは電車じゃない。」ということもあるだろうし、車窓から見えるその景色が「素晴らしい眺めだ」という人もいれば、「こんなの見ていられない」と酷く嘆く人もいることだろう。
この電車に乗っている人達は皆、日々色んなことを思い、感じ、そしてまたここでこうして揺られている。
私も、あの人たちも、生まれた時からずっと。
そう、ここに乗っている全ての人が、誕生したその瞬間に勝手に切符を切られ、強制的に〖あの世行き〗と書いてあるこの電車に乗せられてしまったのだ。
途中下車しても、この電車が駅に着くまでずっと乗っていたとしても、行き着くところは結局同じなのだろう。
どうせ、同じなんだろ?
私の乗っている車両では途中下車した人が居ないため、その場の雰囲気でこうして今も電車に揺られている。
私は別にこの電車のことが嫌いな訳ではないのだ。
時によって感じ方は異なるが、〖あの世行き〗というゴールがあるだけまだいい。と今は感じている。
まあ、
もうしばらくはこの電車に揺られておこう。
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なんだかスマホの液晶画面を指先でたたいていることを忘れるくらいに、私はあの電車のことを考えていたみたいだ。
真っ暗な闇の中、スマホの画面の明かりが私をにわかに照らしていた。
今日は随分と疲れてしまったな。
今何時?と、ふとスマホの左上へ目をやると、
─4:03 ─ と表示されていた。
もうそんなに時間が経ってしまったのか。そう思ったあと、急に瞼が落ちていった。ふーっと一瞬のうちに体の力が抜けて、そのまま私は深い深い眠りについたのだった。