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井の中の蛙大海を知らずされど空の青さを知る

「井の中の蛙大海を知らず」という言葉に
続きがあることを、恥ずかしながら先程知った。
元になった中国の原文にはなく、
後に日本で付け加えられたものとのこと。

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この秋も私たち夫婦は
幾つかのワイナリーにブドウ収穫のボランティアに行った。
春にはブドウの苗の植付けボランティアにも行き、
ブドウの房に袋をかけにも行った。


ブドウ畑

それまでの私たちは
確かにフランスやイタリアのワイナリーに行ったりもしたが、
主に夫婦2人でワインを楽しむ生活で、
特に人と関わることはしなかった。
私たちは25年ほど前に転勤で住んでいた栃木県でワインを飲み始め、数年で広島に戻ってきたのだが、
その当時の広島では残念ながら周囲に同じような人がおらず、酒屋主催のワイン会に行っても、
「こんなに高いワインを飲んだ」とかを自慢する思想の人たちにしか会えなかった。
栃木県ではスーパーでワイン会をしたり
市がワイン講座を主催したりして
同じような境遇のワイン好きもいたので
正直、その落差には愕然とするばかりであった。

それから数十年が経ち
日本のワイン文化も変化してきた。
人々の好みも広がり、
既存のワイナリーでも安いお土産ワインだけでなく
ワインとして充分評価できる味のものが
造られるようになってきたり、
ご自分でワイナリーを立ち上げたり
ブドウを育ててみたりと
全国で多様化してきたと思う。
日本のワインはとても面白い時代になったと
個人的には思っている。

ということで、私たちも
今まで旅の目的にはしていなかった
日本のワイナリーを巡ったり、
ブドウと向き合ってみたりを始めた。
遅ればせながらワインのテイスティング会にも参加している。

しかし、ワイン関係の人たちと話していると、
時々「そんなにいろんなことしてるんですか!」
とびっくりされることがある。
夫婦2人で話して歩いて食べて飲んだだけなのに、
それが知らず知らずのうちに育って
なんとなく今、実っているような、
不思議な感覚を味わっている。

ブドウの除梗破砕機


これから私たちはどんな道を歩いて行くんだろう。
誰と出逢い、どんなワインの話ができるんだろう。そしてどんなワインに逢えるんだろう。
収穫時期、ブドウ、熟成期間等
全く同じワインでも、
飲む場所、コンディション、合わせる食事等によって、ワインは同じ印象にならない。
そこが私的にはとても面白いところだと思う。
どんなワインでも、一生一度の出逢いなのだ。

蛙が井戸から飛び出たことで、
自分たちの今いるところが見えてきた。
それは自分たちが思っていた以上に
しっかりとした土の上だった。
空の青さを知っていたのかな。
少しずつだけど、ワイン関係の知人も増えてきた。

いつまでワインと一緒にいられるか、
それはわからないけど、
夫婦2人で、楽しく
できるだけ長くワインの側にいたいと思う。

進め俺たち

(了)

















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