惑う日々2024春 #2
朝ごはんを食べたあと、
冷蔵庫を見てみた。
おそらく子供や孫のために買ったと思われる
夫婦二人暮らしには大き過ぎる冷蔵庫には
いろんな賞味期限切れのものが入っていた。
豆腐、納豆の他、
糸こんにゃく、餃子のタレ(開封済)、
板チョコ、パンに塗るきな粉など。
賞味期限が数ヶ月から数年前のものもあった。
あの小さなタッパー、
多分、中がカビてるよな。
なにが入ってるんやろ。
とりあえずそっと中身を捨てる。
続いて野菜室を覗いて見ると、
外葉がでろでろになったキャベツ、
ふにゃふにゃになった梨、
黄ばんできた春菊など。
さて、どうしようか。
とりあえず姑に「期限切れてますよ」と話すと
あらー、アハハ、と笑っている。
姑の名誉のために言っておくと、
姑は民生委員等も務めたことのある、
かなりしっかりとした人だ。
今までは朝食はもちろんのこと、
昼食や夕食を作ることや後片付けを苦にもしてなかった。
今でも掃除や洗濯は苦ではないようで、
何度も洗濯機を回して干して畳んでいた。
ということは、
食事を作ることがしんどいのだな。
確かに「夫婦二人だったら丸寿司に唐揚げくらいで
充分なの」と言っていた。
(丸寿司は愛媛県南予地方の郷土料理とのこと)
私は言った。
「お母さん、野菜ちょっと傷んでるんで、
ある程度捨てて、食べられるところ切って冷凍してもいいですか?」
姑は快諾してくれた。
いつもフライパンに野菜を置いて蒸して食べるそうだ。
フライパン熱い時には洗っちゃダメなのよねぇ、
と言っていたが、フライパンの蓋を開けると
白い…これはもしやカビでは…いや考えるまい。
ゴシゴシ洗って拭いて置いておく。
冷蔵庫の野菜と私の格闘が始まった。
キャベツの外葉のでろでろを水で流し、
ベリベリと外葉を剥がして傷んだところを捨てる。
年寄りの口に入るものなので、ちょっと気を遣う。
口に入る大きさにして、ジップロックに入れていく。普通のキャベツと春キャベツ、2玉切った。
続いて春菊。
黄色いところは捨てて、
茎と葉に分けてジップロックへ。
ニンニクの芽。
ざく切りにしてジップロック、
茎の端っこが固いので、皮を剥く。
かぼちゃもスライスしてジップロック。
レタスはちぎってジップロック。すぐに食べられる用に少し残してタッパーに入れ、水に浸しておく。
こうやっていくといろんな野菜が冷凍できるんだなとこちらも勉強になった。
そしてこの家にはジップロックが山のようにあることも知った。
しかし、切った野菜を離れの冷凍庫に運んでいたけど、思い出して食べてくれるんかな。
まぁええか。とりあえず切って、テープに野菜の名前を書いて貼っておこう。
気がつけば台所のシンクは野菜クズですごいことになっていた。
(続く)