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俳句part.98「凍蝶」

【凍蝶】いてちょう・いててふ
冬季まで生き永らえた蝶。寒さのために凍てついたように動きの鈍い蝶。「冬の蝶」より差し迫った感がある。

子どもの頃や社会人になったばかりの頃には行ってみたい場所がたくさんありました。しかし、その憧れを抱えたままその場所に今行ってみても何か違うと思ってしまうかもしれません。
時は移ろい行きます。
10年や20数年前に憧れた風景が今もそのまま保たれて来ているとは限らないのです。
変わる事は仕方ない。変わる事が悪い事ではないのですが、憧れたものがもうないとわかった時の喪失感は何とも言えないものがあります。

その場所に行かなくても、人と会わなくても「変わったんだ」「変わるんだ」と気づくタイミングがふと訪れるようになりました。

過去人の恋がるる里に今凍蝶

凍蝶開かずの蕾綻ぶよ

夏果樹花咲く朝白き凍蝶

凍蝶よ息してくれと瓦礫に手

凍蝶の猫と人とを天秤す

凍蝶の若きモチーフケルト編み

野良猫に気づかれて去る凍蝶か

山頂を目指す凍蝶今川辺

野外鍋凍蝶の具になりに来

赤き手に白き凍蝶山ふもと

凍蝶のノースポールに止まり来つ

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