ロボコップの世界は6年後
ヒトの良心が傷まないようになるのは、どのようなきっかけなのだろう。
いかにも良心的な科学者が倫理を踏み越えてしまった。
2014年版のロボコップのビジュアルも戦闘様式も非常にスマートである。バイクに乗って街中を走り抜ける姿は、広告通りどこか日本の仮面ライダーを思わせる。
彼はなぜ、ロボコップになったのか?
また、主人公アレックス・マーフィーの性格も仮面ライダーBLACKの光太郎を思い起こしてしまった。いや、これは私の個人的な趣味なので、30代後半の当時仮面ライダーを見ていたひとにしか通じない感想だった。
ストーリーはこうだ。優秀な熱血警官のアレックスは、思いやり深い人だった。犯罪捜査の過程で、自らのミスで相棒を悪人に撃たれてしまった。一命をとりとめたが、相棒を見舞って失意の中家に帰った彼はさらなる不幸に見舞われる。犯罪組織をから逆恨みされて、家の外におびき出されて、車に仕掛けられた爆弾で吹っ飛ばされたのだ。
その頃ロボット技術の開発で世界をリードしているオムニコープ社は、行き詰まっていた。社で開発したロボットをアメリカの警察機関に売り込んだが、感情のないロボットでは善良な市民を撃ち殺してしまうかもしれないという世間の反発に合い、導入されなかったのだ。どうしても警察機関の市場を確保したいオムニコープ社は一計を案じる。
犯罪捜査の最中に負傷した警察官の中から、身体の機能をロボットとして補わせ、犯罪捜査のスペシャリストとして世間に披露することにしたのだ。
その宣伝効果によって世間にロボットがいかに有効なものか認識させ、需要を拡大させる算段だった。
機械の身体で蘇ったアレックスは、当初戸惑い絶望し、死にたいと願ったが、顔と片手以外には人間らしさを失った外見でも妻と子供が自分を待っていてくれると知り、徐々に現実を受け入れて(映画の中ではほぼすぐに受け入れてしまうようにも見えるが)、感情をコントロールできるようになり、家族との再会を果たす。
その一方で、オムニコープ社のロボコップとして宣伝に利用される彼は、無理な人体実験を繰り返され、取り戻した感情もだんだんと失ってしまう。世間の熱狂的な人気を受けた時、彼はすでに心までロボットになりかけていた。しかし、犯罪捜査をしていくうちに、自分の死のきっかけとなった真相究明できていなかった事件にかかわることになり、データとして自分の過去を洗っていくうちに、その真相に辿りつき、当時抱いていた感情を思い出したことをきっかけに、理性を取り戻す。
結果として、アレックスの相棒が死の危機に瀕し、彼を取り返しのつかないロボットに作り替えてしまった事件は、警察と犯罪組織の癒着構造がかかわっていた。その事実に辿りつかせないために、アレックスたちをこの世から葬り去ろうとしたのである。
その事実はアメリカ全土に公表された。
オムニコープ者は警察組織の汚職を暴くことなど望んでいなかったので、最終的に彼を破棄するという判断を下した。
救いのない真実を追い求める哀れなロボット
アレックスは道徳心のある感情豊かな男性であった。非常に強固な理性を持っていたが、それでも最終的にロボットとしてよみがえった自分を受け入れることができなかった。
妻と子への愛と慈しみを取り戻した彼だったが、それでもロボットのまま彼らのそばにいることはできなかった。
自らの研究の成果を求め、研究費に目がくらんでしまった博士が、最終的に理性でどんな決断を下したのか、それは見る人の感じ方にかかっている。
他・
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こちらもロボット映画ですが、人造人間ではありませんん。