大人のためのファンタジー?「ファンタスティック・ビースト」
年末に紅白以外見たいなあとAmazonで映画を検索していたら、ファンタビの一番新しい「ダンブルドアの秘密」がプライム作品になっていました。ファンタビの三作全てとハリーポッターシリーズ全てがAmazonプライムに追加されていました。ハリーポッターシリーズも全作サブスクで見られるなんて今は恵まれていますね。
子どもの頃ハリーポッターシリーズを読んで大人になって書籍で全作揃えた経験のある人は、未だにハリーポッターの古本でもいかに高値かご存じだと思います。
しかしながら、ハリーポッターとファンタビを知らない人は一体なぜそれほど喜ぶかお分かりにならないでしょうね。
*以下、ほぼネタバレです。まずは第一作を観てから読まれることをおすすめします。
ファンタビとは?
ファンタスティック・ビーストをハリーポッターを知らないで見る強者も最近はいるようですね。ハリーポッター全く見たことがないけどUSJに行く人と似た心理なのでしょうか。
ダイジェストが知りたい人は予告編がYouTubeで公開されています。タイパを意識して早送りしなくて良いので便利ですよ。ハリーポッターの基礎知識もワーナーブラザーズのこのチャンネルで得られます。
ファタスティック・ビースト(以下ファンタビ)は現在三作目が公開されていますが、四作目の制作の予定が立っていないと監督が明かしています。正直三作目まででは話なオチがついておらず、ハリーポッターシリーズからのファンとしては消化不良に陥っています。
完結編まで制作に至らない理由については、様々な憶測を呼んでいます。
続きが知りたい人間としては、ひたすら待つしかないのが悲しいです。
続編は、必ず映画館で観ます。
ハリーポッターなしでファンタビを楽しむ人のための基礎知識
舞台(時代背景)
ハリーポッターシリーズが1990年代のイギリスが舞台でした。ファンタビはその70年前の主にアメリカが舞台です。
基本用語
ホグワーツ魔法学校
魔法使いダンブルドアが本作では講師を務めています。70年後にはここの校長です。
魔法使いに禁忌とされるものがあり、それが闇魔術です。ハリーポッターたちが学んでいる頃は闇の魔術に対抗するための防衛術を学校で教えられていました。
MACUSA(マクーザ)
アメリカ合衆国魔法議会の略称。アメリカの魔法界の安全を守ろうとする管理組織。魔法使いの組織は国によって異なり、英国には魔法省がありますが、米国にはこの機関があります。
オブスキュラス
魔法族の場合、通常魔法力は7歳までに目覚めます。オブスキュラスは、魔法使いが自分の力を抑圧した時、制御しきれずに生じてしまう不安定な闇の力のことです。極稀に精神的・肉体的な虐待の影響で自己の魔法力を抑圧してしまうケースによって起こります。例えば、魔法を嫌う家族によって育てられたハリーポッターが魔法の力を自覚しないまま超常現象を引き起こしたがこの予備軍?です。通常は、これを生み出した魔法使いは10歳前に死んでしまうのです。ハリーポッターシリーズで悪役のトム・リドル(ヴォルデモート卿)は、この時代に生まれて闇の力を自覚した上で使いこなしました。
「オブスキュラスは、愛を知らない子の心のなかに育つ、いわば“闇の双子”、唯一のともだちだ」(アルバス・ダンブルドア)
ノー・マジ/マグル
ノー・マジは、NO MAGIC=非魔法使いのこと。マグルは英国での人間を指す言葉で、ノー・マジとほぼ同義。しかし、マグルにも魔法使いが生まれる事があります。
半純血
先祖のなかに少なくとも一人以上のマグル、マグル生まれの人物が含まれている魔法使いのこと。ハリーポッターの時代の1990年代の頃には、魔法使いのほとんどは半純血。もし、純血を貫いていたら魔法族は絶滅してしまっていたとされています。
闇祓い
闇の魔術に関連した犯罪を捜査するための訓練を受けており闇の魔法使いや魔女を逮捕・拘束する職業につく人たち。このため、彼らは魔法界における警察兼軍隊のような役割を担っています。
オブリビエイト
記憶を一部、あるいは全部消去する呪文。ファンタビでは、魔法使いや魔法に関するものを目撃したノー・マジに頻繁に使われています。しかし、それでもノー・マジにも魔法の存在を知る人たちが存在します。
新セーレム救世軍
NSPSと省略され、また、セカンド・セイラマーズとしても知られるアメリカの狂信的なノーマジの組織。魔法使いと魔女の糾弾および根絶を目的としています。
一部の魔法使いがマグルを憎む理由
理解できない力を恐れるマグル(人間)が、しばしば魔法の力をもって生まれた子どもたちを虐待したり迫害してきました。
そんな中でマグルを守るために魔法の存在を隠す法律に一部の魔法使いたちは閉塞感を覚えています(魔法の存在が知られたらマグルと戦争になると考えられています)。
その法律がマグルと魔法使いのハーフに対する偏見を助長もしていました。
魔法使いは優れた存在であるので、マグルを排除して魔法世界を統一しようと考えたのがグリンデルバルトでグリンデルバルトに従う魔法使いたちは闇の魔術(許されざる呪文)を扱います。
登場人物
ニュート・スキャマンダー
ハリーポッターから遡ること70年前には、魔法動物学者は世界に主人公ただ一人です。
優秀で心優しき主人公は魔法動物を探しては不思議なトランクに集めています。魔法動物は魔法界でも扱いが難しいものとされ、ニューヨークでは飼育が禁止されています。そんな魔法動物に魅了されている彼は変わり者です。
特に絶滅しそうな貴重な魔法動物を保護して、魔法動物について周囲の理解が深まるよう活動しています。
アルバス・ダンブルドア
ハリーポッターの時代では、ホグワーツ魔法学校の校長です。闇の魔法使い・グリンデルバルドが魔法界を支配しようと動き出すと、ダンブルドア教授は魔法動物学者ニュート・スキャマンダー、魔法使い、魔女、そしてマグルのパン屋からなるチームを結成します。
ゲラート・グリンデルバルド
トム・リドルの出現まで史上最強かつ最も危険とされた闇の魔法使いです。一方ではダンブルドアのかつての親友です。その友情は、ダンブルドアとダンブルドアの弟と彼の決闘により、ダンブルドアの妹が亡くなったことで途絶えたというエピソードがあります。
ポーペンティナ・ゴールドスタイン
半純血の魔女。マクーザの闇祓いです。
ノー・マジに魔法を使うニュートを目撃し、彼を監視するうちに恋心が芽生えていきます。
上からの命令に反してニュートたちと新セーレム救世軍について調べています。
クイニー・ゴールドスタイン
ティナの妹。真面目で地味な姉と違い、美しく柔軟な思考の持ち主です。非常に優秀な開心術士であり、他人の心を読んで感情や記憶を読み取る能力を持っています。ジェイコブと恋に落ちますが、結婚の提案を彼に拒絶され、ノー・マジとの結婚を促進すると言われ、一時グリンデルバルトの陣営に入ります。
ジェイコブ・コワルスキー
ポーランド出身でリビングトン街435で暮らすノー・マジ。ジェイコブは1910年代に第一次世界大戦で従軍した後アメリカ合衆国に戻った彼は缶詰工場で働き始めますが、一方でパン屋を開くことを夢に見ています。1926年12月6日、ジェイコブは2300ドルの融資を受けるためスティーン・ナショナル銀行に行くが断られました。この銀行で魔法動物を発見・記録するためにニューヨーク滞在中のイギリス人魔法使いニュートン・スキャマンダーと出会い、その後の騒動に巻き込まれ続け、ニュートたち魔法使いや魔女と友情を深めていきます。しかし、一方であまりに華やかで美しく自由奔放な魔法使いクイニーと恋愛するのに気後れを感じて悩みます。
第三作目が一部で不評の理由
①一番はグリンデルバルド役がジョニーデップでなくなった事が大きいでしょう。降板の理由については省きます。第一作ではまだグリンデルバルドは登場しませんが、第二作は彼とダンブルドアがほぼ主人公級で登場します。裏の主人公級を思わせるほどで、第三作もグリンデルバルドがほぼ出ずっぱりです。
しかし、ジョニー・デップが闇を愛しカリスマ性で率いている憎めない悪役のようであったところ、新しいグリンデルバルドは、独裁政治家のような雰囲気が漂って、喫茶店が似合いません。あまりにも役者の雰囲気がかけはなれすぎて、冒頭のグリンデルバルドとダンブルドアのシーンで「誰これ?」状態でした。
②ハリーポッターを知らない世代が設定を理解するのが難しい
わたしもネットで設定や用語を調べて正月の間何度も見ました。ちょうど元旦に石川の地震が起こり、テレビは震災放送一色でした。
不謹慎かもしれませんが、ずっとニュースをつけていられず、大晦日に紅白見ないで見たファンタビを見返すことにしました。
③時代背景が暗い
画面もずっと暗いです。映画館で見れば違うのでしょうが、私は目が悪いので一作目から素敵な魔法怪獣たちがよく見えませんでした。ハリーポッターシリーズでは常に魔法の杖が光っていたのでそんなに暗さが気にならなかったのかもしれません。設定が第一次世界対戦頃ですから、アメリカ魔法議会も重苦しい雰囲気であるとすれば、グリンデルバルドが血統にこだわる保守主義だったり全体主義的な共産主義者だったりイデオロギーにしばられた側に見えてファンタジーが薄れて何か現代に対するメッセージ性が透けて見えます。
③障害の多い恋
ニュートより心を読むクイニーとうだつの上がらない心優しきジェイコブという脇役の恋やグリンデルバルトとダンブルドアもかつては友情を超えた愛情で繋がっていたところに盛り上がりがあります。
しかし、かたやマグルと魔女で美女と冴えない戦役上がり、かたや同性で敵どうしだから設定も複雑です。
映画の対象年齢が13歳以上なのも戦闘シーンがあるからだけでなく、恋愛要素が多いというのもあるでしょう。人種問題を含んでいます。
ファンタビは大人向けファンタジー?
オブスキュラスは魔力を自覚した環境で起こるもので、虐待を受けた子どもたちの悲劇にファンタビはスポットを当てています。
人種間差別や虐待などハリーポッターより社会性の高い作品になっており、画面の暗さにもリアリティがあります。
一方で胸が痛むシーンが第一作から多いです。感動的で美しい魔法動物や恋愛シーンやコミカルなシーンから急にシリアスに代わり、高低差の大きさに見ている方の感情もあっちにいったりこっちに行ったり、しかし、見終わった後は重い感じが強く残ります。
しかし、それは不快なものではなく、作品の謎が解明されない事が大きいです。ネット情報では、映画化してませんが、完結までのあらすじが分かるようです。魔法用語を調べていて一部読んでしまいました。
ファンタビはハリーポッターをかつて楽しんだ人たちに対するメッセージ性が強い作品だと思います。
三作目の見どころ
毎回登場する新たな魔法動物。三作目は麒麟。麒麟は統治者に相応しい人物を選ぶとされます。設定は中国の物語で聞く麒麟と同じですね。果たして、麒麟の選ばれるのは誰なのか?ぜひ、作品を観てお確かめください。
*第一作のエンドロールの後の特典映像ではメイキングで魔法動物たたちのデザインを知ることができます。