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コーチのためのスポーツ心理学⑬リーダーに求められる意思決定

こんにちは!

今回は、タイトルにもあるとおりリーダーとして求められる意思決定に関してまとめていければと思います。

↑これまでの「コーチのためのスポーツ心理学」はこちら↑

↑前回の記事はこちら↑

関係性の構築

リーダーシップスキルの中でも

ビジョン・人間関係・意思決定

の3つが重要だとされています。

今回の本題の意思決定の話に入る前に関係性についても少し紹介させていただければと思います。

選手とコーチの関係性が重要であるということは、あえて紹介するまでもないかもしれませんが、研究の結果によっても

コーチとの良好な関係は、アスリートのパフォーマンス、モチベーション、満足度、幸福度の向上につながる。

(Yang & Jowett, 2017)。

ということが示されており、コーチが選手と良い関係性を構築していくということは、リーダーシップを発揮するという観点からも重要になるということが明らかにされています。

Gardner, 2011によると、選手と良好な関係性を構築しているコーチには3つの共通した特徴があったことが報告されています。

①ビジョン
②言語的能力
③共感能力

の3つが挙げられています。

①と②に関しては、前回のnoteに詳細にまとめているので、ご参照ください

③の共感能力に関しては、スポーツ心理学の中でもカウンセリングなどの領域にあたるのではないかと思います。

私自身も大学院生活において、カウンセリングなどについても学習をしていましたが、到底まとめ切れるような分量ではないでの、自身が勉強ために読んだ書物をいくつかリストアップしておきます。

僕自身も再度読み直したい本ばかりなので、また時間が出来次第、まとめていきたいと思います。

今回紹介されていた”共感”というのは、カウンセリングで大切にされているロジャーズの中核三条件の1つでもあります。

上記の書籍は、共感に関する書籍ですが、残りの条件でもある

”受容””一致”に関する書籍も販売されています。

上下巻セットですが、まずは上巻がおすすめ

一年前の僕は、下巻がイマイチ理解できませんでした。。。

カウンセリングがメインの話ではないですが、心について考えるきっかけになる本としては一番おすすめで僕自身も大好きな一冊

カウンセリングでも心理学でも、ましてや”共感”に関する書籍ではないですが、”共感”を行う際に、必要となる相手の背景を理解するためにこの書籍の内容は参考になることが多いなと思っています。

この書籍についてもまたいつかまとめます。

以上4点が、私のおすすめ書籍になります。

皆様のおすすめ書籍などもありましたら教えていただければと思います。

意思決定

リーダーが日々効果的に実践しなければならない3つ目のスキルは、意思決定です。

コーチは、様々な決断を迫られる場面に数多く直面します。

チーム運営から戦術の選択まで、コーチの意思決定はチームの成功に大きな影響を与えます。

今回メインとしてまとめるnoteでは、状況の複雑性に基づいた意思決定フレームワークと、ステークホルダーの関与について紹介します。

Cynefinフレームワーク:状況に応じた意思決定

複雑性科学に基づいたCynefin(ク・ネヴ・イン)フレームワークというものがあります。

Cynefin(ク・ネヴ・イン)フレームワークは、コーチが直面する状況を4つのコンテキストに分類したものであり、いかにそれらの簡単な内容とコーチとして取る行動の提案を簡単にまとめておきます。

気になる方は、Cynefin(ク・ネヴ・イン)フレームワークで検索、もしくは、記事最後の参考文献を参照していただければと思います。


a) 単純な状況
原因と結果が明確で、確立されたベストな練習を行うことができる状況。
例えば、チーム方針違反への対応や、試合前の食事メニューの選択などが該当します。コーチは状況を把握し、適切なカテゴリーに分類して、定められた対応を取るような意思決定を行うことができます。

b) 複雑な状況
複数の正解が存在する可能性がある状況です。
原因と結果の関係は存在しますが、即座には把握できない状況のことです。
例えば、文化的背景の異なる外国人選手の採用などが挙げられます。このような場合、コーチは専門家の意見を求め、慎重に分析を行う必要があります。

c) 複合的な状況
予測不可能で常に変化する状況です。
チームスポーツにおける多くの意思決定がこのカテゴリーに含まれます。
選手の配置、戦術の選択、怪我や病気への対応など、複数の要因が絡み合います。正解は一つではなく、しばしば後知恵でしか理解できないとされています。
コーチは様々な選択肢を探り、忍耐強く最適な道を見出す必要があります。

d) 混沌とした状況
即座の行動が求められる危機的状況です。
例えば、選手の重大な怪我や、試合終盤の緊迫した場面などが該当します。このような状況では、コーチは迅速かつ断固とした行動をとり、秩序を確立することが求められます。

ステークホルダーの関与

上記の4つのフレームワークを用いてコーチ自身が意思決定を行うことも重要ではありますが、意思決定プロセスにおいて、アシスタントコーチや選手などの他のステークホルダーをどの程度関与させるかも重要な問題だと言われています。

しかし、これも難しいところで、意見を聞きすぎるがあまりコーチ自身の意見が理解しづらくなってしまうことも避けなければなりません。

以下の質問を考慮することで、適切な関与の度合いを決定することができるとされています。

・決断の質は重要か?
・チームのコミットメントは決断にとって重要か?
・自分ひとりで決断するのに十分な情報を持っているか?
・自分ひとりで決断した場合、チームはそれを支持するか?
・チームはプログラムのビジョンに完全に賛同しているか?

(Vroom & Jago, 1988)

これらの質問に基づき、コーチは単独での意思決定から様々なスタッフや時には専門家との意見交流まで、状況に応じた適切なプロセスを選択できます。

バランスの取れたアプローチ

当たり前のことですが、効果的なコーチングには、状況に応じて適切な意思決定方法を選択する柔軟性が求められます。

チームの重要な方針を守るためや、選手が義務を果たさない場合などには、コーチが単独で断固とした決定を下す必要があります。

一方で、複雑や複合的な状況では、他の関係者からの意見を取り入れることで、より良い決断につながる可能性があります。

様々な意見を取り入れる協議型の意思決定は、チームメンバーの自律性を支援し、決定に対するオーナーシップ感を高めます。しかし、すべての状況で協議が最適というわけではありません。時には、コーチが権限を行使し、単独で決断を下す必要もあるということを覚えておかなければいけません。

スタッフだけでなく、選手の意見も柔軟に取り入れたり、時には選手たちに意思決定を委ねるということも重要ですが、そればかりになってしまうとコーチがコーチである意味を失いかねません。

選手の”自律性”を尊重することは重要ですが、コーチとしての意見を持ちながらという前提を忘れてはいけないと思います。

変革型リーダーシップの重要性

上記でまとめてきた内容は、前々回にまとめている変革型リーダーシップのようなスキルです。

変革型リーダーシップでは、単独で決断を下す前に、選手や状況から十分な情報を収集しますが、最終的な決定は自身で行い、その権限と責任を効果的に使用し、選手を始めとするチームのメンバーに影響を与えます、

また、混沌とした状況や緊迫した場面では、コーチは断固とした行動をとる能力を持つ必要があります。これにより、選手からの信頼と尊敬を得ることができるとされています。

前々回のnoteだけでなく、変革型リーダーシップに関しては様々な書籍や論文なども発表されていますので、私自身ももう少し理解を深めていけるようにしたいと思います。

結論

効果的なコーチングには、状況に応じた適切な意思決定が不可欠です。

Cynefinフレームワークを活用し、状況の複雑性を理解することで、より適切な対応が可能になります。また、ステークホルダーの関与の度合いを適切に判断し、バランスの取れたアプローチを採用することが重要です。

コーチは、単独での決定と協議型の意思決定を状況に応じて使い分け、チームの成功につながる最適な判断を下す必要があります。

変革型リーダーとしての姿勢を保ちつつ、時には断固とした行動をとる勇気も必要です。

このようなバランスの取れた意思決定アプローチを身につけることで、コーチはチームのパフォーマンスを最大化し、選手の成長を促進することができるでしょう。

常に状況を適切に評価し、柔軟に対応する姿勢を持ち続けることが、優れたコーチングの鍵となります。

言うは易し行うは難しの通り、個人的にはまとめながらもやっぱり難しいなと思いました。

ただ、これまでもまとめているように自身の哲学を構築していくことなどから始めたり、状況に応じて(ここでいう状況には、広義にコーチとしての自身の現状を理解するという意味も含めて)頼れるものには頼りながら1歩ずつレベルアップしていくという姿勢を持つことも重要だと改めて感じました。

私自身も、色々な面で様々な方から学びながらレベルアップしていけるようにしたいと思います。

↓参考文献はこちら↓

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