「さよならのつるくさ」
しろいはなをさかせ
らせんじょうにのびてゆく
さよならというつるくさ
たねをうえたおぼえはないのに
ふたりのきづかないところで
しずかに しずかにそだつ
おおげんかをしたり
ほかのひとをおもったり
きらいになったわけでもなく
ただ ひとはかわってゆくから
なにかをもとめて
あるきださずにはいられないから
ふたりのおもわくをこやしにして
みどりのつるはのびてゆく
たがいにあえないじかんにおこったできごとが
あいてのこころをかえたとしても
おなじとき ちがうばしょで
きっとあなたもなにかをみつけていた
だから
あたらしくなることをおそれないで
あなたのほうがはなれてゆくとしても
あのひとのほうがとおのいたとしても
ゆるやかにひっそりと
ひとのこころにそだつ
それが
しろいはなをさかせ
らせんじょうにのびてゆく
さよならというつるくさ
(「にじのふもと」新風舎 収録)