「思春期」の脳科学
① 思春期には性ホルモンが身体だけでなく、脳にも劇的な変化を与える
以前にTwitter(X)にて、
こちらの興味深いネット記事を見つけました。
わが子が突然キレるワケ……思春期の子どもの謎を解明! NHK「ニッポンの家族が非常事態!?」
記事はNHKで放送された番組の概要で、思春期には性ホルモンが身体だけでなく、脳にも劇的な変化を与えることが研究によって判明しているといった内容です。
(記事引用)
②脳科学的な「思春期」は25歳くらいまで続き、身体的な「思春期」よりも長い?
そもそも「思春期」の定義とは。
WHO の定義(1970)によれば、身体的には
第二次性徴の出現から性成熟までの段階をいい。年齢的には8~9歳頃から17~18歳ごろまでをいいます。
※栄養状態が良くなると身体の早熟化が進むため思春期の開始には個人差があるが、
一般的には小学校高学年から高校生くらいまで。
しかし脳科学的な意味での「思春期」は
10代から25歳くらいまでで、身体的な意味での思春期よりも長いとのこと。
思春期に起きる脳科学的な変化をまとめると、
以下の通りです。
③まとめ・感想
・思春期は「負担が大きな年頃」
だからこそ、各自の発達凹凸に合った教育が大切なのでは?
私はこの記事を読んで、
思春期には性ホルモンの影響で生じる生殖や闘争本能など、野性的な本能が急成長する時期でもあり、それは自立への起爆剤でもある。
急な成長で不安定な時期に、学業や人間関係など、論理的思考や社会性を育んでいかなければならないなど、自らの過去を振り返ってみても、様々な負荷のかかる時期だったなと改めて感じます。
思春期のストレスを軽減し、一番吸収力のある時期に学習効率を高め、自信を付けて様々な挑戦ができるように、改めて「発達凹凸に合った教育」が不可欠だなと感じました。
好奇心旺盛で色々勉強したい人も、体育会系な環境で鍛えられる人も、勉強よりもアルバイトなどの実務が得意な人も、最適な学習経路は人それぞれ違います。
・現代の若者は機会に恵まれてる反面、学ぶべきことが多く脳への負担が大きい
一説によると、身分制度があり、生まれで職業が決まっていた伝統社会には「思春期」は無かったそうです。
確かに伝統社会では、働き始めるのも、結婚して子を持つ年齢も、現代よりもずっと早かったはずです。
一方、現代社会は社会が高度化・複雑化していて、機械化が進み「誰にでもできる単純作業」も無くなり、専門性を求められる職業ばかりになっています。
現代人は自立するために、様々な学問を勉強し、自分の得意と不得意(もしくは発達凹凸)を慎重に分析し、変化の激しい社会でキャリアップに努め、パートナーも自分で見つけなければならない。
現代の若者は、自由で様々な可能性やゆっくり成長する機会に恵まれている反面、学ぶべきことが多く、脳への負担も大きいのだと改めて感じます。
・自分自身の「多感だった年頃」を振り返ってみて
あと、「脳科学的な思春期は25歳まで」という説については、確かに自分にも思い当たる節があります。
現在、私は30代前半ですが、感受性の強さについては25から30歳辺りを境に徐々に弱まり、10代から20代前半の時ほど音楽、ゲーム、アートなどにワクワクしたり、のめり込むことは無くなったような感じがします。
改めて、性ホルモンの扁桃体刺激による「多感な時期」は10代から25歳くらいまでがピークかなと実感として思います。
・大人は、若者が訴える不安や反抗的な発言について「思春期だから」と思考停止してはダメ
このNHKの番組をリアルタイムで見ていた、10代の若者のTwitter(X)の投稿に、このような内容のものがありました。
私自身も思春期特有の生きづらさはありましたが、今考えてみると、その根底にあったのはASDによる生きづらさだったなと感じます。
身近な大人が、自分の子供や生徒について「思春期の多感な時期だから辛い」と決めつける前に、本人に発達凹凸があったり、学校や家庭の人間関係に問題があったり、根底にある問題を汲み取る努力は重要だなと感じます。
・若くて貴重な時期を長時間労働で潰したり、早期に進路を固定してしまうのは勿体無いのでは?
あと脳科学的には、前頭前野が完成する20代後半までモラトリアム期が続くとのことで、日本社会では、まだ脳が成長途中の20代前半で進路が決まり、忙しく働きづめになりやすいですがその頃はまだ脳の成長期。
若者の知性と感性を豊かに成長させるためにも、各自のペースで社会参加とプライベートのバランスを取ったり、若い頃に色々チャレンジできるように、ある程度自由にキャリア転向できる余裕が欲しいところかなと個人的に思いました。
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