〈ラジオ#1〉企業におけるダイバーシティ&インクルージョンは本当に必要なのか?
違いに優しい社会を創るAn-Nahal代表の品川優です。
5月からの新しい試みとして、「アンナハルのダイバーシティ&インクルージョン研究所」と題したラジオを始めました。毎月配信予定ですので、是非お聴きください!
▼ラジオはこちら▼
〈アンナハルのダイバーシティ&インクルージョン研究所とは…?〉
このラジオでは、「日本におけるダイバーシティ&インクルージョンのあり方」をテーマに様々な観点から考えていきます。日本で働く外国籍人材や、この分野で活躍するゲストスピーカーへのインタビュー、社会トレンドや事例などもご紹介していきます。
第1回目のテーマ💭
記念すべき第1回は「企業におけるダイバーシティ&インクルージョンは本当に必要なのか?」をテーマに、下記の内容を中心に対談形式で話していきます!
・そもそも私たちにとって「多様な社会」とは?
・これまで体験した「ダイバーシティが発揮されている状態」は?
・日本社会の課題は?
・企業におけるダイバーシティ&インクルージョンとは具体的にどういうこと?
第1回はAn-Nahalメンバーをゲストに招き、対談していきます!👏
第一回配信内容ダイジェスト📢
noteでは、ラジオでのトークをぎゅっとまとめたダイジェストをお届けしていきます!
|「多様な社会」とはどんな状態?
品川:では早速ですが、さやかさんにとって「多様な社会」とはどんな状態だと思いますか?
川口:そもそも前提として、一人一人が違っていると思います。「違っている」というのは性別や見た目、そしてどんなことを学んできたのか、どんなことが好きなのか、これらの要素でここにいる人は全て多様だと思います。
その上でそれぞれの得意なことや好きなことがうまく組み合わさって、新しい状態や新しいアイデアが生まれる。それがいつもあちこちで起こっているのが、多様な社会じゃないかなと思います。
品川:そうですね。いつもアンナハルのメンバーとも話していますが、社会で言うダイバーシティはどこか特別なこととして言われている気がします。いわゆる「ダイバーシティ」というテーマで話すときに、焦点がマイノリティと呼ばれる属性の方にあたることが多いですよね。
でも、私たちが考えているのは属性だけではなく、誰であっても一人一人に違った個性があるということ、つまり人がその場に複数いるだけでダイバーシティが成立していて、大事なのはその違いが発揮できる状態であるかどうか、つまりインクルージョンの部分だな、と。
「多様な社会」というのはすでにそこにあって、その多様であることがきちんと活かされている状態や社会のことを、多様でそれが受容されている、つまりダイバーシティ&インクルージョンが成立している状態なのかなと思います。
ちょっと抽象的になってしまいましたね。もう少し掘り下げてみると、さやかさんとしてこのような社会が大事だと思った実体験や具体的なお話はありますか?
川口:すごく印象に残っているのは、An-Nahalに関わるきっかけにもなったR-schoolです。
◆R-School とは?
日本で暮らす難民を含むマイノリティや“Diversity and Inclusion”のあり方に問題意識を持つメンバーで構成され、本業は、デザイナー、映像制作、人材育成などさまざまです。当日集まったのは、日本人の学生、経営者、大学教員、国連職員、クリエイターやエンジニア、国家公務員、そして、日本で暮らす難民をはじめ多様なバックグラウンドを持つ外国人。
そんなメンバーが取り組んだテーマは「10年後には標準になっている新しい仕事」。アイデアづくりの手法などをチームに分かれて学び、国籍、年齢、職業を超えてそれぞれが持つリソースやアイデアを組み合わせながら、2日間みっちりと議論を重ねました。
川口:この2日間で得た経験は本当に言語化するのが難しいですが、それぞれの文化、今までの人生における経験、仕事に対する考え方、そしてどういう未来にしたいのかというのをみんなで深く語り合えた場でした。みんなの違いを語り合い、混ぜ合った良いアウトプットの場だったなと感じています。
品川:本当に良い混ざり合いが生まれていましたよね。「未来の職業を考える」というテーマでしたが、参加していた経営者の方からは最新技術の活用といった視点の意見が出たり、一方で中東出身の方は戦争のない未来、学びたいことを学べる教育環境の整った社会を作っていきたいという話があったり。どちらも間違っていないけど、全く違う視点が出会う場でしたね。
結果としてVRを用いた教育テクノロジーのアイデアに繋がるなど、チームの中でも多様な視点から面白いディスカッションにつながりました。生まれた国や属性に対するステレオタイプを超え、それぞれを尊敬できる環境があったのかなと。
運営側としても、このような違いが尊重されるように場の設計や、タイムマネジメント、バリアフリーな環境作り、コミュニケーション設計など、安心安全な場作りにとても意識して取り組みましたよね。
|日本社会の課題はどこにある?
品川:では、これまで話してきたような社会を実現するにあたって、日本における課題はどんなことがあると思いますか?
川口:一般的にはダイバーシティに関する制度が整っていないことやマインドが変わっていないといったことが挙げられていますが、これらは実際に存在していると思います。
ただ、私自身このR-Schoolを振り返ってみると、日本社会には制度だけでなく対話が少ない気がします。お互いに深い話をするとか、その前提として自分自身のことをよく知ること、考え直すというのが実はできてないんじゃないかなと思います。
品川:「深く対話する」と聞くと難しく聞こえるかもしれないですが、お互いもう一歩踏み込んで聞いて理解しよう、という姿勢やコミュニケーションのとり方に慣れていない人が多いのではないかなと感じます。
みんな暗黙の了解が当たり前で「わかっているよね」というプレッシャーがあって、だからこそ一歩踏み込みづらい現状がありますよね。
川口:逆に「聞いちゃっていいのかな?」と遠慮もあるし、「分かっているから」と自分で自分を分かったモードにしている気がします。
品川:それは本当によく感じます。私が国外に出てよく思うのは、「前提が共有されていないことが前提」になっている、ということですね。
だからこそ「こんな基本的なことまで聞いても良いのかな」ということまで相手に確認することがたくさんあります。日本だと理解できないのは自分の責任だから自分でなんとかする、相手にもう一回聞くのは失礼、というった無意識の思い込みや遠慮があるかもしれません。
川口:遠慮なのか配慮なのか、プライベートに踏み込み過ぎないようにするのはすごく難しいですよね。
品川:そうそう。その一方でたまにびっくりするようなプライベートな話になったり、面白いですよね(笑)
|企業におけるダイバーシティ&インクルージョンとは?
品川:さて、ここまでは社会全体の話をしましたが、企業におけるダイバーシティ&インクルージョンと少し絞ったときに現状をどのように考えますか?
川口:そうですね…。色々取り組みはされていますが、経営方針と結びつけることはなかなか難しく、まずは目に見えるところから少しずつ取り組むなど、もがいている企業が多いのではないかなと思います。
品川:確かに冒頭で「ダイバーシティはインクルージョンとセット」と話しましたが、今日本で取り組まれているのは見えるところのダイバーシティの担保が多いような気がします。
例えば、役員や管理職の女性登用や障害者雇用、セクシャルマイノリティの方への配慮など。まずは目に見えるところから仕組みを作っていき、先ほどさやかさんが話していたような深い対話をすることや、そのためのリーダー育成、経営戦略や事業との接続はこれからではないかと思います。
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