ベビーローライが気になる〜 世界の中古カメラ市
銀座の松屋で開かれていた世界の中古カメラ市。初日以外の平日なら比較的「密」を避けられるかと、予定をやりくりして行ってきました。訪れるのは昨年秋に続いて二度目です。普段カメラ店に行く習慣がない私にとって、いろんな機種の実物を見ることができる貴重な場です。
前回はバルナックライカが気になっていましたが（使ってみたい気持ちは今も変わりません）、今回いちばん見たかったのはベビーローライの戦前モデルとローライフレックス・スタンダード（オールド・スタンダード）です。
二眼レフとして驚異的な小ささと軽さを持っていそうなベビーローライ。そして、120のブローニーフィルムを使いながら小型のローライコード各種よりもさらに軽量と『ローライフレックスの時間』のスペック表に書いてあるローライフレックス・スタンダード。ランニングやハイキングにローライのカメラを持ち出そうということを試しているうちに、これらを実際に手に取ってみたいと思うようになりました。
時間が限られていたので、各店のブースを回りながら目的のものだけ探していきます。まずはベビーローライ。正式名称はローライフレックス4x4。通常のローライフレックスでは120フィルムで6センチ角の真四角写真が撮れるのに対し、ベビーローライは127フィルム（ベスト判）という小さなフィルムを使って4x4センチの写真を写します。一番出回っているのは1950年台後半から1960年代前半にかけて生産された、灰色っぽいボディをした「グレーベビー」です。所ジョージさんもお使いになっているとか。私は、戦前に作られたさらに小型軽量なモデルに興味がありました。
フィルム入手の困難さで敬遠されることもあるようですが、今回のカメラ市にも出店していた北海道のかわうそ商店さんが数年前から独自の127フィルムを販売してくれています。そのことを知ってから、俄然興味が増しました。
ところが今回、ベビーローライを置いている店があまりありません。戦前モデルに至っては、私が行ったときに見つけられたのは一台だけでした。昨年秋の開催時にも目に留めていましたが、そのときには戦前モデルがもっとたくさんありました。生産台数が少ない「スポーツベビー」と呼ばれる型も、２台は出ていたはずです。ベビーローライ、もしかすると、ひそかに人気を呼び始めていたりするのでしょうか？
ともあれ、一台だけ見つけた戦前モデルを、戦後のグレーベビーと合わせて手に取らせてもらいました。
戦前ベビーローライの小ささ、軽さ、手の込んだ作り、彫り込みで刻まれたRolleiflexの銘板。素晴らしいです。ただ、実際の使用では、後年のモデルに比べて手がかかるのは確かです。「赤窓」からフィルム1コマ目の頭出しをしなければならないところなど。また、絞りとシャッタースピードを表示する小窓が小さくて見づらいとか、ファインダーが暗いとか、使い勝手に関わるところも、気になることはありました。でも、外に持ち出して写真を撮ってみたい！という気持ちが強く湧いてきたカメラでした。
続いてローライフレックス・スタンダードです。1939年に発売された「ニューモデル」ではなく、1930年代前半の「オールド・スタンダード」です。撮影レンズのf値によりf3.8, f4.5, f3.5の3タイプがあります。
f4.5のものはあまり生産されなかったとのことで今回のカメラ市で見かけませんでしたが、f3.8, f3.5のものはありました。この２つのタイプで大きさや重さはほとんど変わらないようでしたが、より新しいf3.5の方がちょっとしたところで使い勝手の改善が図られているようでした。
このオールド・スタンダードは、1931年に販売された初代のベビーローライをもとに、120フィルムが使えるよう大型化したものです。なので戦前のベビーローライ（いちばん後のスポーツベビーを除く）とオールド・スタンダードは、見た目や使い方が似ています。
先にベビーローライを手に取っていたので、オールド・スタンダードの軽さに感激することはありませんでしたが、それでもうちにあるローライフレックス2.8Cなど後年のモデルと比べるとずっと小型で軽いのは確かです。そして何より、120フィルムはベビーローライで使う127フィルムよりずっと手軽かつ安価に入手でき（安価というのは、あくまで127フィルムと比較した場合のことです）、種類も豊富で、カラーもモノクロも選べます。120フィルムが使えてこれだけ小さく軽量というのは、大きな魅力に映りました。
そんなことを考えながら会場を回りいくつかの個体を手に取っているうちに、時間切れとなってしまいました。その場で購入するまでは踏ん切りがつきませんでしたが、会場で感じた「いいな」という気持ちが今も持続しています。状態がよさそうで値段も手頃な個体があるのかどうか、探してみようと思います。
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