山ペンギン 11 ふるさと
イマドとイマドに出逢った山に来た。
捨てに来たわけじゃない。
主任も今回同行している。
「イマドくんのふるさとって、本当はどこなのかしらねー。」
イマドはふるさとの意味が今ひとつピンと来ないようだ。
「生まれた場所って言われても、生まれたときの記憶なんてないでしょう?」
そりゃそうだな。
でも、お前にも親ってものがいるんじゃないのか…?
ただトリだからな…
卵で移動してきてたら分からないよな・・。
寒い場所なのは間違いないはずだ。(一話参照)
「オレ君、あれなんだろう…」
主任が指差すところに洞穴がある。
入るとひんやりどころではなく寒い。
氷?
昔の氷室って奴か。
って、ここは樹海でもなんでもない…
また女神がでた!
「イマド、あなたはここで生まれたのです。」
なんでやねん!!
「卵のあなたを何者かがここに持ってきて冷やした結果、あなたがうまれたのです!」
卵は冷やすなあたためろ!
「その結果アナタはペンギンの姿となってしまったのです。」
女神様…て言うか、その過程を見届ける前にやることないのか?
「なんて素晴らしいミラクル!」
主任が叫ぶ。
卵冷やしてペンギン生まれりゃミラクルだろうな…
「全部ウソですけど。」
そう言って女神は消えた。
「……帰りましょうか。」
「……そうね、帰りましょう。」
全員、女神を含めて何しに来たのか分からないが、
イマドが涼しい場所を好む理由だけ少し分かった気がする。
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