雨の匂い
久しぶりに雨の匂いをかいだ。
ただそれだけのこと。
私にはxyzを飲んだときのように気分が良い。
今うなずいたあなた、気が合うわね。
そのように生きてきたから、私に優しい"あなた"は滅多に現れない。初めてのときも随分待ったもの、次に会う人もきっとそれくらい待つわね。
"それ"くらい、"それ"だけ、そのようなものたちが山のようにあるのよ。だから私は絵を描いている。
あなたは私を肯定してくれた初めての人だった。
それだけのこと。あのときの私はわかっていた。だからとても大切にしたの。とても、とても心を込めて過ごした。
また空白のときが流れる。
一応メモしているのよ。様々な出会いと感情を詩にして。それが私を救う手段の一つなの。あなたにもきっとそのようなものがあるわよね。でなければ悲しすぎるもの。
そろそろ心が折れてしまいそうなの。赤も黄色も紫も、ターコイズブルーも青もニュートラルも。過ぎて行ったものたちをまた描く気は今のところない。
そろそろ現れてくれないと完成しないわ。この雨を表すような少し霞がかった黒く青く優しい"あなた"。この心がひび割れてしまう前に私を覆い尽くしてほしい。静かに涙が染みるように私を受け入れてほしい。
そうしたらまた大切に大切に画面を彫るわ。