神様っ! 恋愛がしたい! 恋愛がしたい! 恋愛がしたい。 恋愛が……したいっ! 昨夜の涙の意味を消化できないまま寝てしまった私は、起き抜けに叫んでいた。もちろん心の中で。 色白で金髪に近いくるくるヘアーのエプロンをつけた店員さんの恋の行方をいちいち気にしていた私。もちろん夢の中で。 好きだったな、好きなのかな、好きでもいっか。 好きなのかな? お気に入りのぬいぐるみを抱きしめすぎて、謝る。 ごめん、キミでは足りないんだ。 好きだったのかな、まだ好きなのかな、
「どうしたの?」 「だから、 それで、 何が言いたいの?」 と君に言ってしまってから、しまったと思う。 いつもは心の奥に留めておくのだが、今日はなんだか余裕がない。 「どうかしている」 「うん、なんだか別の人みたい」 君は俺を何だと思っているのか。昨夜の甘い時間すら馬鹿馬鹿しく思えてくる。そろそろかな。 「あ、またアレのこと考えているでしょ」 こらえる。同じ言葉を言いたくない。このようなやり取りになってしまうのは、もう気持ちがないからだろう。見せかけの甘さに惹か
あなたのその形。 大人になって少しの美しい体。 無敵な状態ね。 私、嫌いだけれど好きなの。 どうしようもないくらい、イライラするけれど好き。 別に寝たいわけではないのよ。 どうしようもなく、観察したくなるの。 骨と皮と、様々なカーブを描く筋肉、窪みとシワ。 味や匂いも気になるけれど、そこは好きに想像させて。 白い方がいい。心が。 黒さを装った真面目さに一瞬闇を抱えていると勘違いしたわ。 あなたは白い。 肌の質感、骨の硬さ、血液の熱さを想像してクラクラしてしまう。
わかっているから。 あなたの近くにいて、 あなたがこちらに背を向けて、 10センチ。 もう触れているような気分だった。 本当に、抱きしめる寸前だった。 あなたもわかっていた。 それを私もわかっていた。 これは、距離を学んだ大人だからできること。 手を取って、 頬に触れたら、 終わりの始まりだということを知っていた。 2人の10センチ。 これは深みにはまる前の限界ライン。 あなたも私も耐えたの。 ただ思い出しただけ。 それから、 少し抱きしめてほしくなっ
久しぶりに雨の匂いをかいだ。 ただそれだけのこと。 私にはxyzを飲んだときのように気分が良い。 今うなずいたあなた、気が合うわね。 そのように生きてきたから、私に優しい"あなた"は滅多に現れない。初めてのときも随分待ったもの、次に会う人もきっとそれくらい待つわね。 "それ"くらい、"それ"だけ、そのようなものたちが山のようにあるのよ。だから私は絵を描いている。 あなたは私を肯定してくれた初めての人だった。 それだけのこと。あのときの私はわかっていた。だからとても大切
てゆっても、 それだけだ。 それだけ。 たったそれだけでよい。 そう、それだけ。 たったのね。 それが、そう それだけ なのだ。
その時は攻撃されているように感じるかもしれない。 それに耐えて受け入れると、よい刺激を与えてくれたのだと気づく。殻に閉じこもっていると、殻が壊れるのが怖くて、よりバリアを強くする人もいる。 しかし、出てみたら本当のことがわかる。 自然も人もそこに在って、こちらを向いてくれていることに気づく。 めげずに殻を壊してくれる人に私は感謝する。 そして、その攻撃に耐えた自分をほめる。 悪性物質を取り除くためには、痛みが必要な時もあるのだ。
わかった。エロスが消えたんだ。 飽きていたのは描きながら知っていた。心ここにあらず、と気づかれたくなくて、本当はもっと描けるのにやめた。 あなたは手に入らないんだもの。何度もアピールしたけど、ことごとく跳ね返されたわ。最後の日は悔しさと虚しさでしばらく閉じこもってしまった。あの頬に触れたかっただけなのに。 自分勝手、と言われそう。でも距離は考えて動くのよ。20代の頃のように無茶しないわ。でもそれが、満たされない、何か足りないという飽きにつながっているのね。 これからど
ふわりと浮いた。傘を差して歩いていたはずだが。 傘と言っても日傘だ。 コンビニを出てすぐ甘酸っぱいドリンクを飲んで信号を待つ。この通りは久しぶりに歩く。途中川もあり、木の葉がかかる橋の手すりを見ると、名の知らぬ虫がいた。 確かに歩いていた。通り過ぎた車の色も覚えている。すれ違ったおばちゃんたちの会話すらも。 ここはどこだろう。静かに流れる水の音。チョロチョロと心地よい音。さっき飲んだドリンクの香りとは似ても似つかないような、青っぽい匂い。好きだ。 遠くでゴロゴロと何かの
雨が歌う。 あなたはまだ隣にいる。背中に触れてみる。 私、これでいいのかな。 昨日久しぶりに会いに行って、近くの定食屋さんでオススメの生姜焼きを食べた。いつものBARでよくわからない味のお酒を飲んだ。疲れていたから2杯で酔った。 曇り空、じわりと汗が滲んだ。 あなたの手はいつも優しい。けど、なぜか少し悲しみを帯びていて熱い。いつもの夜。私は目を閉じて受け入れる。いつものこと。 明け方太ももは冷たく、あなたの手が触れると夢から覚める。仕事……、休みだ。手と手が触れ合
カサカサに乾いたバラの葉っぱが カラカラに渇いた心の砂漠を カラリと転がる。 軽やかに飛んで 川を目指して カラスが鳴く。 加減のできない男。 風が吹くとまた出て行く。 格好悪くても 彼の地を目指して かかとを地面につけながら 傘を杖代わりにして。 ガラリとドアが開く。 学校帰りの大きな子どもが ガラス越しにこちらを見る。 肩には背負えないランドセル。 かろうじて届く頭に手をやり 髪の毛に触れた。 感触はあの人のものに似ている。 カッカッカッと笑う豪快な男。 帰
キミはいつの間にか汚れてしまったようだ。 なぜそう思うかって?簡単さ。キミの絵を見たのさ。吐き気がしたよ。病みの中、闇を描いているのかと思ったよ。 心が見えないんだ。 20年前に見た、絵を描くことが好きなナルシスト全開の純粋な絵とは、似ても似つかないくらいまずい絵だ。 どうしたのさ。 もうあきらめるよ。キミはキミの世界の奥底にいる。こちらへの反応が皆無なんだ。悲しいよ。キミは友人1人失ってもたいして困らないし、友人よりも名誉が欲しいみたいだからね。悲しいよ。病んでしま
君の声を奪って逃げた。 探していたんだ、ずっと前から。 緑、君の色を探していた。 川のようで、ときには葉のような不思議なエロスを感じる。そんな色。 口に含んだら溶けてなくなるかと思った。 それは舌の下に潜り込んでしばらく動かなくなった。取り出そうとしても隠れてしまう。格闘しているうちに可愛らしく思えてきた。味はない。音もしない。見えないから鏡にも映らない。 でもちゃんとある。せめて味があればなんて、欲張り。君を感じることができるだけでよかった。それが今は閉じ込めたいと
かえるくん。 ふとしたときに思い出す、コロ助の真似をする甘ったるい声。好みの女性に媚びた態度。触れられなくてよかった。奴のことを覚えているということは、あの日相当ショックを受けたか、怒りが込み上げたか。 正確には不快感。 奴のぴょんぴょん跳ねたような心がありありと伝わってきて、この店に連れて来てくれた先輩を一瞬憎んだ。あからさまに公私混同する接客は嫌い。目の前しか見えていないのね。わたしはお金を払って嫌な思いをした。ドリンクが美味しかった記憶もない。 かえるくん。仕事
キラキラと 君の瞳も輝いて。 決まった形ではなく、 "きれい"と思われなくても きっと大丈夫さ。 昨日そんなことを話したような……。 気のせいだったらごめん。 傷つけたくなくて、 希望を持たせるようなことを言って。 キザだと思った? 今日は酔ってないよ。 キスしたいから。 〜〜〜〜〜 ギィ……お客さんだ。 「ギムレットが飲みたいの。」 キスミー・クイックじゃなくて? キス・イン・ザ・ダークでもない? 「興味ないわ、キスなんて。」 「黄緑色の宝石がほしいの。
M先輩は孤独なイケメンだった。 生徒会室の鍵を持って1年棟に1人で来ていた。会うときはいつも廊下。1度だけ鍵をもらうときに手が触れたことがある。うれしくてトイレで小躍りしたことを覚えている。 M先輩は、他の役員が面白おかしい話をしても声をあげて笑うことはなかった。みんなとの間にパイプ椅子1脚分の距離があった。私と似ている。その場にはいるけれど、先輩の周りには青い空気がある。不思議と先輩のいる空間は居心地が良かった。私という存在を許される気がした。 M先輩は頑張る人に優しか