
AMANー旅の途中、街の喧騒からはずれて
旅の途中で、いい場所をみつけた。
それは滅多に泊まることがない、ラグジュアリーホテルのラウンジ。
旅をしていると、高揚感があると同時に、刺激が多くて疲れてしまうもの。
街歩きに疲れた午後。爽やかで丸みのある音楽と豊かな緑に包まれた時間は、旅で少し乱れたバランスをチューニングしてくれた。
今回訪れた場所は、東南アジアを中心に展開しているホテル『AMAN』。そのなかのラオスの古都・ルアンパバーンにある『Amantaka』だ。
東南アジアの秘境、ルアンパバーンにある『Amantaka』へ
中心街から徒歩20分ほどの場所にある『Amantaka』。「東南アジアの秘境」と言われるルアンパバーンの街に、このホテルはある。わたしはホテルブランドには疎くて、『AMAN』のことは知らなかったのだけれど、一緒に旅をしていたお友達が教えてくれた。
重工な壁の内側に、平屋で白い壁の大きな建物が見えた。まるで、宮殿のよう。自由に出入りできるエントランスはなく、スタッフの方に伝えて、車が出入りするような大きなゲートを開けてもらった(通常なら、送迎の車で入るのだろう)。
ガガガ…、と自動で扉が開く。すると緑の芝生の中心に、白い道が伸びていた。宮殿への道が開けた。
日が高く昇った午後、中心街から歩いてきたため、汗が滴る。ギラギラと照りつける太陽から、早く逃れたかった。ホテルの建物に入ると日陰になり、急に体感温度が下がる。スーッと優しい風が汗ばんだ肌に触れて、過ぎ去っていった。


ラウンジで、物腰柔らかなスタッフが出迎えてくれた。他にゲストはおらず、わたしたちだけの貸し切り状態。ラウンジのソファーを使わせてもらえるとのこと。
冷たい飲み物をオーダーし、ふわっとしたソファに身をゆだねた。居るだけで癒されていく空間。


ポロロン、ポロン…
軽やかで、透明感のある木琴の音が聴こえてきた。東南アジアらしい、丸みのある音楽。その爽やかな音色を聴きながらラウンジ周辺を歩いてみる。
あれ?
あの音色の音源は、生演奏だった。別棟のほうで、3人の青年が胡坐をかく姿勢で民族楽器を奏でていた。てっきりCD音源だと思っていたから、予想外。
民族楽器は、ラナートという打楽器のようだ。

新しい旅のアイデア
落ち着いた空間で、女子同士であれこれ話しながら、時に奏でられる音色に耳を傾けながら過ごす。
今のわたしにとって、ここは宿泊先としては滅多に選ばない場所だった。高級ホテル特有の落ち着いていて、すこし背筋が伸びる雰囲気は好き。
でもなんとなく、勿体ない感じもしていた。それはお金の面だけでなく、有名な観光地を巡り、名物を食べるという「型通りの旅」をしている気持ちになりそうだったから。「型」を体験したいのではない。そうではなく、「偶然の一致」を体験したいのだ。型はずれな旅だからこその出会いやハプニングは、特別な思い出となる。
わたしは旅に「刹那」を求めていた。
だから旅先でいつも選ぶホテルは、どちらかというとゲストハウスや民宿、リーズナブルなホテルが多め。地元の人と交わる空間が好きなわたしにとっては、自然な選択だった。
例えるなら、前者がテーマパークの遊びで、後者がキャンプのイメージだ。
でも、こういう場所を選ぶ旅があってもいいなぁと思った。洗練された空間で、街とのギャップを感じる場所。街中にあるにも関わらず、敷地内に入ると静寂で、外の空間から切り離された感覚に陥った。ここでしか味わえない時間があるのだろうと、容易に想像できた。
シームレスな旅から、パーソナルな旅へ。
それも、いいじゃないか。わたしの中に、新しいアイデアが組み込まれた。さまざまな旅の選択肢があることが、旅をさらに創造的にさせてくれる。
また別の国で、とっておきの体験してみたいなぁと、妄想を膨らませるのであった。

▽ Amantaka Official site
▽ラオスにまつわるエッセイ
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