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映画 『怪物』を観ました。

『怪物』観ました。
勝手に偉そうに言うと、「よくできてるな〜」という感想です。

以下⚠ネタバレありです。



この映画、いろんな要素が詰め込まれています。
感情移入できないほど、散在している感じです。
まとまってるのに散在している。

構成上、各々の角度から事案に向き合わなければならないので、切り替わった時に、じゃあさっきのあの態度や行動は何だったんだ?となりますが、当事者目線には、他のことには盲目になっていて自分に都合のいい見方になっているということなんでしょう。

それにしても、それぞれの見方が極端すぎて、いやいやもうちょっとまともな人間がいるでしょ。学校側の人間が全て冷静に状況を見られない人達なわけないでしょ。などと、つっこみたくなる部分は多いです。東京03の角田さんとかに。

田中裕子さん効果ってすごいです。一発で不穏な空気感を漂わせます。絶対、重いものを背負ってますもん。この人、思い返しても腑に落ちない不可解な行動があります。最後まで分からないままです。

実力派俳優たちの演技を
しっかり観られる満足感があります。
瑛太さんは、各章で別人を演じているのだと思います。


子どもだけのシーンは、私は観ていて結構しんどかったです。
子どものほうが、よりリアリティを感じるからかもしれません。
もしくは、大人が思い描くものに忠実に寄せるために理解を深めて、演技を頑張っていることを想像してしまうとしんどいということかもしれません。
いずれにせよ、子役はプロだから心配は無用だと自分に言い聞かせました。

構成が視点によって三つに分かれている訳ですが、第一章の湊は明らかに壊れていく様子が痛々しいほどに現れています。
それは母親目線で描かれているから。
自分が知らない何か良からぬ事が息子を取り巻いているに違いない。まさか自分が無意識に紡いでいる言葉が苦しめる要因になっていることなど微塵も感じていない。子どもには弱い部分を見せない安藤サクラさん演じる湊の母には、やはり自分を重ねる部分はありました。
でも、感情移入する前に次の章に行っちゃったので消化不良な感じです。

第三章では湊自身は決して壊れてはいなかったことが分かります。

観た直後は、時事的な問題を詰め込みすぎだと思いましたが、この映画の本筋と言えば本筋ですし、時間を置いて整理してみると、よくできていて面白い映画だと思います。
        勝手に ★★★★☆

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