アンクル ボブと秋桜
こんにちは
ボウヤ
今日はどうしたんだい?
こんにちは
ボブおじさん
お母さんが
おじさんの庭の
コスモスが
とても綺麗に
咲いてるよって
教えてくれたから
見に来たんだよ
そうか
ボウヤは
お花が好きな
優しい子だからね
それで
もうコスモスは
見て来たんだね?
うん
見せてもらったよ
ボブおじさん
本当に綺麗だね
そうかい
じゃあ
せっかくだから
中にお入り
ボウヤの好きな
ココアを入れて
あげよう
ありがとう
今日はコーヒーじゃ
ないんだね?
(ボブは人差し指を顔の前に立てて小さく振りながら微笑んだ)
さあ
そこへお掛け
フルーツの入った
パウンドケーキも
あるよ
ありがとう
ボブおじさん
いただきます
あぁそうだ!
ボウヤ
ちょうど良かった
息子のトムから
エビが沢山届いてるんだ
帰りに半分
持って帰っておくれ
君のお父さんも
このエビが
大好物なんだ
ありがとう
ボブおじさん
僕もトム兄さんの
エビは大好きだよ
おじさん
トム兄さんは
元気?
ああ
電話では
元気そうだったよ
おじさんも会うのは
年に一回
船が帰ってくる
時だけだからね
寂しくないの?
元気で頑張っていれば
それで良いんだよ
僕は今
とても寂しいんだ
ペロの事かい?
うん
ペロが死んじゃって
もう1ヶ月に
なるんだけど
忘れられないんだ
ペロは犬だけど
僕の親友だったんだよ!
忘れる必要なんて
ないんだよボウヤ
これまで通り
ペロを愛しておやり
ペロは犬では
なくなったけど
いつでもボウヤの
側にいるんだよ
どういうこと?
ボブおじさん
窓から光が
射しているだろう
あの光の中にも
ペロはいる
さあ手を出してごらん
今ボウヤのその手の上にも
ペロはいるんだ
ペロは光や空気の
中に溶けてしまったの?
そうだよボウヤ
だから
目には見えなくとも
ボウヤはペロと
ずっと一緒さ
犬だけが
死んじゃうと
そうなるの?
いいや
生きとし生けるもの
全てさ
みんな亡くなったら
この世界いっぱいに
拡がっていくのさ
メアリーおばさんも?
そうだよ
メアリーは
生きている間ずっと
私の隣にいたけど
今もこうやって
私を包んでいるんだよ
じゃあ
いつかは誰も
いなくなっちゃうの?
違うよ
ボウヤ
そうやって拡がった
命のエネルギーは
また一つの形になって
ボウヤに会いに来るんだ
ウサギやアヒルのように?
そうだよ
命のエネルギーは
混ざりあって
また一つの
生命になるんだよ
じゃあ
どんな生き物も
大切にしなきゃ
いけないね
そうなんだよ!
ボウヤは本当に
優しくて賢い子だね
命の重さは
みんな同じなんだ
ゾウでもアリでも
だね
そう!
例えば
ボウヤのお母さんと
庭のコスモスも
命の重さは同じなんだよ
ここまで言ってしまうと
ボウヤには
少し難しいかな?
ううん
よく解ったよ
これからは
どんな生き物とも
友達になるね
そうだね
ボウヤならできるよ
さあもうお帰り
エビを忘れないで
ありがとう
ボブおじさん
ココアもご馳走さま
あ!
おじさんの足元に
ゴキブリが
何!?
早くそこの
ゴキZ持って来い!
殺せ!殺せ!
早く殺せ!!
ケケケ